「国際数学オリンピックで開成高校の3年生が満点で金メダル」

 

「フランス・パリで行われていた国際数学オリンピックで開成高校3年の大谷聡太さんが全参加者の中で唯一の満点を獲得し、金メダルを獲得した。大谷さんの金メダル獲得は4年連続であり、満点での金メダル獲得は3年連続となった。3年連続の満点獲得は日本人として初であり、世界でも数人しかいないという。この他筑波大学付属駒場高校3年の水原蓮さんと麻布高校3年の菊池伊織さんと灘高校3年の高橋樹さんが銀メダルを、聖光学院高校3年の永瀬海斗さんと灘高校1年の大村大樹さんが銅メダルを、それぞれ獲得した。」

 

「聡ちゃん、また満点での金メダル、本当におめでとう!!」

 

「ありがとう。最後、有終の美を飾れてよかった。」

 

聡太たちが高校3年生、最後に参加した国際数学オリンピックで聡太が全出場者の中で唯一の満点を獲得。聡太の金メダル獲得はこれで4年連続。満点での金メダル獲得は3年連続という大快挙を達成したのだった。

 

「本当、すごいね。大谷君は。これで4年連続の金メダル、そして満点獲得は3年連続。もう数学の神様といっていいんじゃないかな。」日本数学オリンピック財団の岡田理事長が聡太に最大限の賛辞を贈った。

 

「そんな神様なんて。自分はまだまだですよ。これから精進して数学者として少しでも神の領域に近づけるように努力していきたいです。」聡太は謙虚に言った。

 

「他の5人の選手もよく頑張りましたよ。本当に立派。悔しさもあるかもしれないが、そのパワーをこれからの人生に生かしてほしい。」そう言って岡田理事長は5人をねぎらった。

 

「ありがとうございます。これで3年連続で銀メダル。これも日本人初みたいですっかりシルバーコレクターですけど、でもやっぱり金メダル獲れなくて悔しい。」(蓮)

「去年は銅メダル、今年は銀メダル。くやしさはあるけど、精いっぱいやった結果なので、この結果をバネにこれからも頑張りたい。」(伊織)

「初めての参加で、あわよくば金メダルをと思ったのですが、甘くなかったです。でも結果には納得してます。」(樹)

「これで3年連続で銅メダル。聡ちゃんが4年連続で金メダル、蓮が3年連続で銀メダルで、自分は3年連続で銅メダルでブロンズコレクター。正直今年は金メダル狙ってたけど、また銅メダルで本当に悔しい。精進が足りなかったです。この反省を生かして次のステージに進んでいきたい。」(海斗)

「高校1年生で代表に選ばれて大会に出場できただけでも良かったのに、まずは銅メダル獲れてほっとしてます。来年以降も頑張りたい。」(大樹)

 

5人はそれぞれ感想を言った。

 

 

表彰式ではまず銅メダリスト、銀メダリストの順に紹介されていき、最後に金メダリストの紹介。そして世界1位に輝いた聡太が紹介されると、会場はひときわ大きな拍手に包まれたのだった。まばゆいばかりのスポットライトを浴び、まるで世界的大スターのような聡太の姿に、他の5人は改めてすげーなと思うのと同時に尊敬のまなざしを向けたのだった。

 

「大谷さん、君は世界の数学界の宝だ。ぜひともその力を数学界のために使ってほしい。」国際数学オリンピック財団のシューベルト会長も聡太に最大限の賛辞を惜しまなかったのだ。

 

その後の懇親会では、聡太に対し、海外の大学の数学者からぜひうちの大学に来ないかとか、国際数学オリンピック財団の幹部にならないかのオファーを受けていたけど、聡太はまずは東京大学に進学して、海外の大学へは留学という形で考えると丁重に話をしていた。

 

「それにしても、大谷くんはすごいよね。でも蓮くん含めみんなメダル獲得したから立派だよ。」表彰式後の懇親会でかたことの日本語で蓮に話しかけてきたのは韓国代表として出場していたパク・イジュン君。イジュン君は今回銀メダルを獲得し、2年連続での銀メダル獲得となった。

 

「ありがとう。今年は本気で金メダル狙ってたから、本当に悔しい。」蓮が悔しむのも無理はない。今回金メダルのボーダーは42点満点中27点。2日間で6問の問題を解き、1問につき得点が7点なので、満点は42点となる。今回は歴代での最高の難しさの問題となったのだ。そんな中でも全出場者の中で唯一満点を獲得した聡太はこれで世界の数学界から注目される存在になったわけだが、蓮もイジュン君も金メダルにあと1点届かずに銀メダルだったのだ。思えば高校1年生の時に初めて出場した時はボーダーまであと3点、高校2年生の時はボーダーまであと2点、そして今回はあと1点と、こんなところで階段のような成績を残さなくてもよいのにと思うけど、結果がすべてで終わってしまったことなので仕方のないことであるが。

 

「俺も悔しい。あと1点届かないなんて。」イジュン君も悔しそうだった。「でも終わったから仕方のないことよね。あとは受験頑張って大学に進学して数学者になって数学で社会に恩返ししたい。」この切り替えの早さ、見習いたいと思った。イジュン君は大のサッカー好きで高校でもサッカー部に所属していてポジションはキーパー。蓮もイジュン君もサッカー・スペインリーグの強豪・レアルマドリードの大ファンということで気があい、昨年も今年も大会期間中、よく話をするようになったのだ。

 

 

こうしてパリから帰国の途につくと、文部科学省を表敬訪問し、文部科学大臣と懇談して一連のスケジュールは終了した。そして聡太たちを待っていたのは・・・