「じゃあ、いってくるね。」

 

「今日から東大生だね。」

 

「うん。」

 

今日は東京大学の入学式。僕の名前は山本蓮。この4月から東京大学理科一類に入学する。経歴を簡単に言うと都内有数の進学校である筑波大学付属駒場高校出身で、数学が得意。高校3年生時には国際数学オリンピックで金メダルを獲得している。

 

蓮が最寄りの駅に行くと、みんなが待っていた。

 

「蓮、また遅れて。」

 

「ごめん。」

 

最初に蓮に話しかけてきたのは伊沢昌磨。筑波大学付属高校出身で、みんなのまとめ役存在で、高校3年時に国際地学オリンピックで金メダルを獲得している。

 

「山本君はいつものことよ。」冗談っぽく軽口を言ってきたのは市川陽翔。昌磨と同じ筑波大学付属高校出身で、国際生物学オリンピックに出場経験があり、高校3年時に、金メダルを獲得したのだった。

 

「本当、蓮は昔から遅れるくせあるから」そう言ってきたのは菊池伊織。昌磨や陽翔と同じ筑波大学付属高校出身で高校3年時に蓮と同じく国際数学オリンピックで金メダルを獲得しているのだ。

 

「蓮らしいわ。」そう言ったのは山下勇希。 日比谷高校出身で高校3年時に蓮や伊織と同じく国際数学オリンピックで金メダルを獲得しているのだ。

 

「寝坊したのかと思ったよ。」そう言ってきたのは木村航大で、駒場高校出身。

 

「じゃあ行きましょうか。」最後に言ったのは屋敷康太、航大と同じく駒場東邦高校出身。

 

実はこの6人も東京大学理科一類に入学し、しかも同じクラスなのだ。もちろんこれは偶然で、本人たちとその事実を知ったときは驚きを隠せなかったのは言うまでもない。

 

7人は地元の最寄り駅から電車に乗って、入学式の会場である日本武道館へ向かう。

 

日本武道館に到着すると、これまた蓮にとっては顔なじみの姿があった。

 

「蓮、おはよう。」

 

「おはよう、みんな揃ってたんだね。」

 

すでに日本武道館に到着してたのは、蓮と同じ筑波大学付属駒場高校出身の青木拓海・山瀬智・森山直人・竹中卓の4人。碧とは高校2年生の時に同じクラスになり、そして蓮と同じ東京大学の理科一類に入学し、しかもこの4人も蓮や陽翔らと同じクラスというのだ。このうち拓海と卓は高校3年生時に国際物理オリンピックで金メダルを獲得しているのだ。

 

「みんな、同じクラスなんだよね。よろしくです。」拓海が陽翔らに向かって挨拶をする。拓海たちが陽翔たちと会うのがこの時が初めてだったのだ。

 

そして。

 

「お、ついに来たね。」そう智が言うと、一台の黒塗りの高級車から一人の青年が降り立った。

 

「みんな、おはよう。」

 

「おはよう、改めて大学でも、聡ちゃん、よろしくね。」