月日は流れ、年末の12月30日。聡太は拓海や傑ら高校時代の友人とカラオケに行ったり、ボーリングしたり、卓球したり、ゲームセンターで遊んだりと丸1日遊んだ後、大晦日は毎年大谷家の恒例の家族や親戚が大集合して、東京都内の高級ホテルで新年のカウントダウンを迎えた後、年が明けると、ハワイに行き、大谷トラストグループ所有の高級別荘で過ごすことが恒例になっていた。ハワイで観光やグルメ・買い物を楽しみつつも、聡太は数学の研究を欠かさない。もはや聡太にとって数学はまるで自分の身体の一部のようになっているのだ。

 

聡太がハワイでバカンス中の頃、地方組は、実家へ帰省し、克也は伊勢神宮へ、慎太郎は熱田神宮へ、悠馬と圭太は東大寺に、伊織は生田神社とそれぞれ地元の友人たちとそれぞれ初もうでに出かけていた。東京組も地元の友人たちと初もうでに出かけていた。一方蓮と碧は双方の家族とともに、箱根駅伝を沿道で観戦するために、箱根に家族旅行に出かけていた。実は蓮と碧は幼稚園時代からの幼馴染で、双方の実家は近く、お互いの家を泊まりに行くなど、家族ぐるみでの付き合いがあるのだ。そのためか学校や国際科学オリンピック界隈では「れんあおコンビ」と言われるくらいであった。筑波大学付属駒場中学校・高校在学中に国際数学オリンピックで銀メダルを獲得、そして東京大学理科一類進学とお互い切磋琢磨しながら、ここまできているのだ。新宿から小田急のロマンスカーに乗り、箱根の町を観光した後、ホテルに宿泊。そして翌日は選手が山を下っていくところ沿道で観戦。

 

「あれ、蓮と碧じゃない?」と、箱根駅伝のテレビ中継にわずかに映った二人の姿に気づいた人もいたようだ。

 

 

「哲雄、初もうでに行かない?」

 

「行かない、勉強する。」

 

年が明けても、元旦から哲雄はみっちり勉強。初もうでも親戚の家に行くのも全て拒否して勉強。一度気分転換で遊ぶと全てを忘れてしまう。それが怖いので、ずっと勉強をしているのだ。そこまでして入試に賭けている哲雄。

 

そして運命の大学入学共通テストの日を迎える。