国際数学オリンピックフランス大会 日本代表

大谷聡一郎 開成高校 3年

 

今日は国際数学オリンピックの日本代表が決定したことをメディア向けに発表する日。代表に選ばれた大谷聡太ら6人の選手は代表候補合宿後、4月に入ってから数学オリンピック財団側から連絡を受け、正式に代表入りが決まったのだ。

 

うわー緊張するな。」

 

「大丈夫だよ。」

 

舞台裏で選手が緊張気味にしている中、中学1年生で初出場して以来、6回目の聡太はもう慣れたものだった。

 

そしてメディア向けに会見が始まる。カメラのフラッシュが点滅する中、代表の6人はポーズを取り、抱負を述べた。

 

「また代表に選ばれてほっとしている。最後のIMO、悔いなく終われるようにベストを尽くしたい」聡太は最後のIMOに向けて抱負を述べ、他の5人もそれぞれ抱負を述べたのだった。

 

一方そのころ

 

「なんで代表に選ばれないんだよ!!絶対採点がおかしいって!!」哲雄は自分が代表に落選したことに関して納得がいかない様子だった。

 

「そんなことはないでしょ。本当にできてたの?」真澄が疑うように言う。

 

「さすがに3番級、一番難しい問題はなかなか解けなかったけど、それは他の参加者も同じでしょ。大谷君は解けたかもしれないけど、他の参加者は解けてないはず、他の易しい問題は解けたから、絶対に代表に選ばれてるはずなのに、なぜ・・・」

 

「他の参加者には聞いたのか?」守が哲雄に問いただした。

 

「聞いてない。でも雰囲気でわかる。」

 

「いやいや、そんなのわからないじゃないか。難しい問題解いてる人がいるかもしれないじゃないか。」

 

「いや、それはないね。大谷君に次ぐ実力を持ってる自分が言うんだから。とにかくJMO(日本数学オリンピック財団)に抗議する。」

 

哲雄は日本数学オリンピック財団に抗議の電話をしたが、財団側の解答は公平に採点されており、不正はないこと、代表落選者に対しては得点の開示には応じられないの一点張りであった。

 

「むこうがそういうつもりなら手段を考える。」

 

一方で代表入りした選手はその後、3回の添削課題の提出を経て、いよいよ開催地にパリへ向かう日になり・・・