聡太と同じ国際数学オリンピックで金メダルを獲得することになる渋谷蓮は東京生まれの東京育ち。子供の頃から、数学が得意であった。しかし数学を含め地頭が良すぎるゆえに、小学校時代はなかなかクラスになじめずにいた。中学入試では自由にやりたいという蓮の意向を尊重し、校則が比較的自由な麻布中学校を受験し、結果合格し、もともと大好きなバスケットボール部に入部したのまでは良かったのだが、いきなりかつてのNBAのレジェンドであるデニス・ロッドマンのように、髪の毛をいろんな色に染めたりして、私生活でも夜な夜な遊んだり、荒れた生活を送り、一時は両親も担任の先生も匙を投げるほどであったが、それでも学校のテストの成績は上位であり、とりわけ数学の成績は常に学年でベスト5に入るほどであった。

 

そんな蓮に対して周囲が勧めたのが競技数学への挑戦だった。最初は蓮も競技数学をやるのを渋っていたが、そんな蓮が競技数学にはまるきっかけになったのが、聡太の活躍ぶりだった。聡太が国際数学オリンピックと国際情報オリンピックで中学3年生にして金メダルを獲得し、中学生にして数学の新たな定理を発見したことが、テレビ番組で紹介されていたのをたまたま見ていた蓮にとって聡太は自分より数学ができる子がいるのかというある意味人生の目標のような存在になっていき、聡太みたいに国際数学オリンピックで金メダルを獲得したいと思うようになったのだ。

 

こうして中学3年生の秋頃から本格的に競技数学に取り組むようになっていった蓮は、中学3年生の1月に開催された日本数学オリンピックで優秀賞を獲得し、国際数学オリンピックの代表候補合宿に参加したのだった。結果は代表になることができなかったものの、この時に聡太とついに出会ったことで、刺激を受けたのか翌年はついに、聡太はもちろん同じ学年の伊織・亮平とともに国際数学オリンピックの代表に選ばれたのだった。

 

本選でも銀メダルを獲得し、来年に向けて周囲に金メダル獲得の期待を抱かせる結果であったが、本人にとっては緊張してしまい、思うような力が出なかったので、全く納得いってなかったのだ。来年は満点金メダルの聡太とともに、金メダルを獲得したい。その思いで、ますます数学の勉強に打ち込むようになったのだ。

 

そうして受けた高校2年の時の日本数学オリンピック本選の結果。

 

金賞 大谷聡太 開成高校 高2

銀賞 山上哲雄 目付高校 高2

銅賞 渋谷蓮  麻布高校 高2

銅賞 菊池伊織 灘高校 高2

銅賞 上野亮平 久留米大学付属高校  高2

優秀賞 高橋樹  東海高校 高2

優秀賞 山本翔太 筑波大学付属駒場中学校 中3

優秀賞 山本龍平 筑波大学付属高校 高2