[ハワイ] まさかの坂 | 婆様のハワイ日記

婆様のハワイ日記

ハワイの片隅で生きるアメリカ人爺夫と日本人婆妻の老夫婦デコボコ日記です。

アロハ



人は人生に一体何度、


「まさか...」と呟くのだろうか、、、




パートで働かせて貰っている、


マッサージ店。


ここのお客さんは、


地元のローカルの人がほとんど。


先月、


70歳前後だろうか、ご主人に付き添われて、


初めて来店した奥さん。


担当したのは、婆。


少し足を引きずるように歩いてきて、


暗い顔をして話してくれたのは....


10日ほど前に、歩道を歩いていて、


派手に転んだ事。


幸い骨折はしなかったが、


腰を強く打ち、


足の指の骨2本にヒビが入ったこと。


あまり寝られないと言う、


彼女の顔を見ると、


目の回りと頬、


顔の半分が紫色になっている。


そう、顔もこの通りよ、と力なく笑う。


さぞかし痛かっただろう、、、


奥さんは続ける。


私はね、健康には自信があったの。


若い頃は運動も大好きで、


この年になってもみんなより早足で、


すいすいと歩けていたのに....


たったこんな小さな段差で、、、


と、指で2センチほどの高さを示しながら、


大きくため息をついた。


まさかこの自分が転ぶなんて、、、


もう情けなくて、惨めて、、、


でも、骨折しなくて本当にラッキーだったわ。


そうですね。良かったですね、、、


それでは始めます。


横になって下さい。


ゆっくりゆっくり心を込めて指圧をする。


ほどなくして、


軽い寝息をたて始めた、彼女。


1時間後、


とてもリラックス出来て身体が軽くなったわ、


どうもありがとう。また来るわね~


と、来た時とは全く違う、


柔らかい表情で、


優しいご主人に付き添われて、


帰っていった。



そんなことがあった、その同じ週。


ずっとブログを読んでくれている、


同じ世代の、Kさん。


我が娘がインストラクターをしている、


ココナッツハットのワークショップに、


ご家族と4人、申し込んでくれていた。


ダイヤモンドヘッドが真ん前の、


カピオラニ公園の大きな木の木陰で、


ヤシの木の葉っぱから、


自分で作るココナッツハット。


それはそれは楽しみにしていてくれたのに....


前日に


まさかの連絡が入る。


転んで膝を強く打ったので、


歩いていて行けないの。


申し分けないけど、


ホテルに変更して貰えたら嬉しい、、


もちろん大丈夫ですと、


急遽娘とホテルへと向かう。


骨折はしてなかったらしく、


本当に不幸中の幸い。



お部屋をとんとんとノックする。


初めて会ったとは思えないほどの笑顔で、


迎えてくれたKさんとご家族。


膝大丈夫ですか?


と見せてもらう。



うわー、、、


これは酷い. ...痛そう、、、


待ちに待った、


やっと来たハワイでまさかの転倒....


でもKさんは、一言も愚痴を言わず、


ずっと冗談を言って、


楽しそうにニコニコ笑っている。


さぁ、いよいよ開始!












1時間半、

みんな一生懸命頑張ってやっと編み上がった、

自分だけのココナッツハット♡♡


きっと膝はジンジン痛いはず。

傷も大きくて心配だろう、、、

待ちに待ったハワイでの、

まさかの転倒....

それでも、「痛い」とも、「悔しい」とも、

「運が悪い」とも、

一言の不平も不満も言わず、

冗談ばっかり言って笑わせくれた、Kさん。


この後、

無事に帰国したと聞いて、

ホッと胸を撫で下ろした。

強くて明るくて優しい、大和撫子Kさん。

ありがとうございました‼

次回のハワイでは、

カピオラニパークの、

こんな木陰でダイヤモンドヘッドを見ながら、

お喋りしましょうね。

本当にありがとうございました。


若い時は、

「転ぶ」ことなんて、

人生の辞書にはなかった。

それも小さな段差で転ぶなんて、

年寄りだけだと思っていた。

まさか自分が...

この自分が、、、

ふと気がつくと、

みんなその立派な年寄りに、

いつの間にか変身していることに、

やっと気がつく。

長い人生の、

「まさかの坂」は、

人生のその最期まできっと続くんだろうな....



そうだよね.. 

って窓の外に向かって一人呟いてみる、、

が、ダイヤモンドヘッドは今朝もまた、

何にも言わず、

ただ黙って佇んでいるだけ. ..

続く。

(朝パートにいくのでバタバタ。写真撮撮り忘れ
  何日か前のワイキキの夜景です。)
(山側の夜景)