アロハ
これだ! これ.....
遂に、遂に出会ってしまった、、、
この家だ。
この家を買いたい。ここがいい.....
もう完全にあきらめていたのに、、、
もう明後日にはハワイに帰るのに、、
不動産屋さんではなく、
先輩移住組Aさんの、
友達のお母さんが一人で住んでいた家。
全く期待しなかった、最後の物件。
狙っていた島とは違うが、
外見とは全く違って、
明るい家の中。
爺が大好きな畳の、
それも二間続きの広々とした座敷。
明るい縁側の吐き出し窓を開けると、
吹いてくる気持ちのいい風。
周りに家もほぼない。
トイレもお風呂も直さず
畳だって変えることなく、
このまま住める状態の、
とてもいい気が流れている小さな平屋。
ここだ、ここ。ここがいい!!
いいけれど.....
これだけの状態の家なら、
100万円代の予算しかない自分達には、
絶対に無理だ。
今まで不動産さんと回った数々の家々。
その値段と照らし合わせると、
下水も完備され、
もう今すぐにでも住めるこんな物件だと、
3百万、いや4百万以上の値はつけられるだろう。
あぁ、無理か、、、
Aさんから我らの予算(100万円代)は、
聞いていると思うが、
買いたい意志はあるので、
ハッキリした値段を知りたいと、伝える。
とりあえず、後でメールします。
と言うことで、一旦別れる。
車の中で、Aさんに興奮気味に、
どう思いますか?あの家。と、聞いてみると、
婆さん、
あれだけの状態の家はもう出てこないわよ。
と、きっぱり。
やっぱりそうだよな、、、
チャンスだ。
爺もめちゃくちゃ気に入っている。
後は値段だけ。
値段....これが大問題だ。
いや、無理だろう、
いや、もしかしたら...と、
一途の望みを持ちつつ、
ドキドキしながらメールを待つ。
その値段は、、、
まさかのギリギリ100万円代。
えぇーまさか!!いいんですか?と返す。
35年前、母が建てて住んでいた家。
お金じゃないんです。
知っている人に、
いい人に買って貰って、
大事に住んで貰いたかったから....
そんな言葉と一緒に提示された、
予算通りの金額に、
亡き母を想うその気持ちがひしひしと伝わり、
何だか泣きそうになる.....