[ハワイ] 帰国最後の日 母の背中に呟く言葉 | 婆様のハワイ日記

婆様のハワイ日記

ハワイの片隅で生きるアメリカ人爺夫と日本人婆妻の老夫婦デコボコ日記です。

アロハ



(懐かしいレインボータワー)

1ヶ月近くもあった日本滞在なのに、

楽しい時間は、瞬く間に間に終わり、

遂に最後の日を迎えた。

今にも雨が降りだしそうな、どんよりした空。

今にも泣き出しそうな気持ちを、

必死で堪え、

いつものように、ごく普通に振る舞う。

朝食は、トーストと甘いコーヒー、

お昼は、温かいおうどん。

夜はスシローのお寿司を持ち帰り、

3人で最後の晩餐をする。

いよいよ今日、

新幹線で関西空港へと向かい、

この故郷と、母と別れるのだ。

そんなこと来る前から分かっていたのに、

会えたら、また別れることは、

知っていたクセに、

どうにも今回は、胸騒ぎがし、

もうきっとこれが最後になるんじゃないかと、

そんな気がしてならない。

90才の母。

小さくなった母。

農家の亭主関白な長男に嫁ぎ、

厳しい姑に仕え、

意地悪な小姑だって3人もいた。

朝から晩まで田畑で、働き、

子を育て、文句一つ言わず、

生き抜いてきた、

私のお母さん。

友達や同級生の両親は、

ほとんどもう亡くなっている....

なのに、

ここまで生きていてくれてありがとうと、

心の中で呟く。

来年も、またこのハワイにいる娘のことを、

忘れずに、

指折り数えて、ここで、

この古い実家で待っていてくれるだろうか、、

また一緒にご飯を食べ、

話し、笑い合うことができるだろうか。

母は、来年も、この家で、

私のことを待っていてくれるだろうか。



トイレに行く母。

手すりを持ち、

そろりそろりと進む、

90才のその姿。

その後ろ姿をしっかりと目に焼き付け、

そっと呟く。

お母さん、ありがとう。

この家で、私を生み、育ててくれて、

本当にありがとう。

あなたの娘で本当に、本当に良かった。


続く。