アロハ
うとうとしている間に、
爺はもうとっくに仕事に出掛けていた。
まだ暗いハワイの6時過ぎ。
爺には悪いが、
目覚まし無しで起きることができる、
この幸せを噛みしめる、
60代の朝。
ゆっくりと起きて、
自分のためにコーヒーを淹れる。
一口一口味わいながら飲める、これもまた幸せ。
少しずつ明るくなってきた夜明前。
さて、ブログでも書こうと携帯を開き、
ふと窓の外を見ると、
なにぃーーーなんとダイヤモンドヘッドが
オレンジの光に包まれているじゃないか。
うわぁ、、、きれいだ。
コーヒーカップを持ちながら一人見とれる。
山側もきっと綺麗だろうなと、
珍しく通路側に出てみると....
この朝焼けの光景に、
立ち尽くし、言葉が出なくなる。
明日はクリスマスイブ。
ハワイは私たちに、
またこんなプレゼントをくれた。
プレゼントはみんなにもれなくくれるけれど、
それは一瞬で、
あっという間に消えてなくなる。
ゲットするためには、
もちろんタイミングもあるだろうけど、
いつも上を向いて、
空を見上げることなんだなって、
20年かけてやっと今頃わかってきた。
せっかくのご褒美の、
大きなダブルレインボーが、
芸術作品のようなこんな朝焼けが、
燃えるサンセットが、
まあるい白い雲がぽっかり浮かぶ、
抜けるような青空が、
空を見上げていないと、
全く目に入ってこない。
上を向いて歩こう。
涙がこぼれないように。
幸せは雲の上に、幸せは空の上に♪
この歌の意味が、今しみじみわかる、
60代。
日本に帰国した時、
当時20代で母一人子ひとりで頑張ってた姪に、
今日の夕焼け綺麗だったね!っていうと、
え ?ふーん、そうなの?
空なんで見上げることなんてないから。
と興味なさそうな答えに、
あぁ、そうか、みんな忙しくて、
見るのは時間ばっかりなんだ、
自分もそうだったなって、気がつく。
空どころじゃない毎日。
子育ての悩み、生活の苦しみ。
仕事のストレス、家族のこと。
いろんなことを抱えて、
みんな人生の険しい山を越え、谷を渡る。
まさか自分の人生に、
こんなことが起こるなんて....
って呟くそんな、「まさかの坂」を
やっと登ったと思ったら、
安心した下り坂で今度は調子に乗り、
すっ転び、立ち上がれなくなる。
涙が枯れた日々、
胸が苦しくて、何もかも捨てて、
逃げ出したくなった日、
そんな時、誰かがそっと背中を押してくれた。
手を差しのべてくれた。
そうして、何とか今まで、
ここまで生きてこれた。
精一杯やってきたあの日々があるからこそ、
こうやって、
空を見上げることができ、
そのありがたさに気がつくことができたと、
改めて気がつく。
ありがたいなぁ......
ハワイからのプレゼントはいつも突然だ。
いつまで貰えるかわからないけど、
そんなプレゼントを欲張って、
いっぱいゲットしたい。
虹の橋を渡る時には、
そんな冥土のハワイ土産を、
持ちきれないほど一杯抱えて、
自慢気に行きたいな、なんて思う。
続く。