[ハワイ] 虹の橋を渡ること | 婆様のハワイ日記

婆様のハワイ日記

ハワイの片隅で生きるアメリカ人爺夫と日本人婆妻の老夫婦デコボコ日記です。

アロハ


(昨日の朝の大きなWレインボー)

冬のハワイは雨が多い。

昨日も朝からの降ったり止んだりのシャワーで、

ハワイは私達に、

こーんなレインボーを見せてくれた。

七色のレインボーが青空に映える。

手を伸ばしたら届きそうなくらいの、

鮮やかな虹が、

出ては消え、また少し角度を変えながら、

さらに大きくなり、

そのうち、ダブルになり、

随分と長い間楽しませてくれた。


2年半前、念願の家を買い、

引っ越しして、

落ち着いてから、

ラインで真っ先に報告したのは、

大好きな先輩。

そう、10才ほど年の離れた、

姉のような存在のMさんだ。

彼女とは20年前、ワイキキの会社で出会った。

ハワイに来たばっかりの、

英語も仕事も出来ないこのダメ後輩の

新人の婆を、いつもいつも助けてくれた。


若い頃、アメリカ人と結婚したが、

子供を抱え離婚。

それから長い間ずっとアメリカ本土で、

暮らしてきた。

その後ハワイに移住。

今のご主人と出会い再婚、

大きな邸宅に住んでいる、Mさん。

働く必要なんて全くない優雅な暮らし。

ある日聞いてみた。

「何でお金があるのに働くんですか?」と。

「アメリカではね、働く能力があるのなら、

  お金あるないかかわらず、男女も関係なく、

   みんな働くのよ。」

と、さらっと言う、先輩の横顔には、

異国で子供を抱えて離婚し、

身寄りもなく、言葉の違う遠い国で、

長い間苦労し、生きてきた、

芯の強さが出て、

やっぱりかっこよかった。


M先輩の英語はそれはそれは流暢で、

仕事は完璧。笑顔だって絶さない。

どんな人種の人にも、ユーモアを交えながら

笑顔でどんどんモノを売っていく。

いつも売上げはナンバーワン。

こっちはマネージャーに毎日怒られてた、

落ちこぼれの新入社員。

M先輩はまさに、婆の憧れの存在だった。


そんな先輩によく言われてた。

賃貸に払うお金はもったいないから、

出来るだけ早いうちに、

自分の家を買いなさい、と、

ハワイで生きる上の、助言もしてくれていた。




20年かかったが、

「やっと家を買いました~!」と、

ラインで報告したら、

自分のコトのように喜んでくれ、

電話までくれた。

1年ほど前は、ビーチのカフェでランチもした。

コロナで会社は閉鎖していたから、

ほぼ2年ぶりに会う先輩は、

病気で手術したらしく、少し痩せていたが、

相変わらず優しくて、カッコよかった。

それからもずっとラインで

とりとめのない話をしていたが、

先月から返事が来なくなった。

遂には、既読にもならなくなった。

そして、先輩が亡くなったと聞いたのは、

先週のこと。

身寄りのない外国で、

家族のように優しくしてくれて、

いつも助けてくれたM先輩の、

あの笑顔が浮かんでくる。

声が聞こえる。


大きな、

それこそ天にも届きそうな虹を見ながら、

先輩のことを想う。

この虹の橋を渡っていったんだね、先輩は。

続く。


(夕方、また山側に現れたWレインボー)