アロハ
3年ぶりの帰国、15日目。
ご馳走を平らげ、迎えた民宿での朝。
目の前にはこんな入江が広がる。
五月晴れだ。
朝食後、缶コーヒーを片手に、
ゆっくりと散歩する。
日本に来て、飲みたかった缶コーヒー。
変わらない懐かしい味。
海の景色は全く違うけど、
目をつぶれば心地よい風に、
まるでハワイにいるような感覚になる。
ハワイが「動」なら、ここは「静」。
さぁ、今日は夫婦別行動。
爺は自転車を借りて一帯を散策するらしい。
婆はとなり町の人気のカフェに、
歩いて向かいたいと、
戦略を練る。
グーグルマップで場所も確認済みだ。
民宿の女将さんが、びっくりして、
あらー遠いわよ。
1時間、いや2時間かかるかも...
山を2つ越えないといけないし。
車で行けば?とやんわり言ってくるが、
年を取るほど変なとこで頑固になっている婆。
いやいや、やってみせるぜ~!と、
逆に張り切り、出発する。
どーせ暇だし、天気もいい。
海辺をのんびり歩いて行くのも、
またいいだろうと、強行する。
順調に歩き始める。
こーんな景色に癒されながら、
山に入る。
結構な坂道が続く。
うっそうと繁った道は段々狭くなる。
たま~に通る車が、
婆を見て驚くように速度をゆるめる。
ま、こんなとこ人が歩いているなんて、
思ってもいないだろう。
大きな山、一山やっと越える。
途中で道が2つに別れている。
ま、当然こっちだろうと、
勝手に判断し、どんどん歩く。
これが失敗だった。
1時間半ほど歩いて、
何だかおかしいと、やっと気がつく。
これって市街地の方にきているじゃん。
あれー海辺の方なのにと、焦るが、
道を聞こうにも、なんせ片田舎。
誰もいない。
やっと走ってきた車を体を張って
停止させ、場所を聞くことができた。
えー!!そのカフェ、
ここからは、めちゃ遠いですよ、
え---------歩いて行くんですか????
と、2人に頭おかしいんじゃないのか?
という顔で見られる。
マジか、、
どうも逆方向に来たみたいだ。
もう今日は断念しようか、どうしようか、
いや、せっかく来たのに、と迷っていると、
いいですよ、
車に乗ってください!
連れてってあげますよ!
と、天使のような声が. ...!!
続く。