アロハ
(カハラビーチ)
ワイキキで働いてた20年。
忙しかったハワイの年末年始。
お正月のハワイは、もちろん値段は高い。
飛行機もホテルも通常の2、3倍はする。
家族で来ようもんなら、もう何百万の世界。
だから、当然お金持ちが多い
見るからに上流階級のご家族、
美人の奥様はブランド物の服を来て、
小ぶりのエルメスなんかをさらっと持ってる。
きっと、このだんな様も一流企業なんだろうな、
いや、どっかの会社の社長かも?
と、貧乏婆は、勝手に想像を巡らせる。
お坊っちゃまもお嬢様方も
仕立てのいいお洋服で、
言葉使いも、そりゃあいい。品があるのだ。
物価の高いハワイで貧困に喘ぐ婆。
通常はお目にかかることもないような
こーんなお金持ちの上級階級の方々と、
お会いするハワイの年末年始。
♡夏はね、主人が仕事が忙しくて
私と子供達だけで来たのよ~
もちろんホテルは、ハレクラニ。
♡今回はファーストクラスが取れなくて、
ビジネスで来たんだけど、
やっぱり、狭くてダメね。
という、奥様の白魚のような指には、
おしゃれなダイヤの指輪がキラリ❇️
思わず、しみだらけの真っ黒な自分の手を
引っ込める。
年が明けて、お客さんたちの、
白かった肌が、だんだん小麦色になっていく。
ビーチで風に吹かれ、
雄大なサンセットに包まれる。
揺れるヤシの木の下をのんびり歩き、
ランチにはパンケーキなんか頬張る。
仕事もない。家事もない。学校もない。
しがらみとストレスから解放されて、
リラックス。
そんな日々もあっという間に過ぎ、
帰国が近ずくにつれ、
みんなの顔つきが変わってくる。
続く。