脚側行進を見て嫌悪感を持つ人は少なからずいる。
犬が必要以上に上を向いて歩く必要はないのでは?
頸椎に負担がかかる。
ロボットじゃないのだから…と。
散歩と脚側は違います。
脚側は競技の中の規定に沿ったものです。
訓練競技は少なくとも5分、長ければ15分以上意欲的に集中してできなければならない。
そのためにはとても小さなパズルのピースを一つずつはめていくように行動を作っていきます。
どのピースも「楽しい」から作られなければパズルは完成しても続かない。
上を向いて歩くことは不自然にみえるけど、犬がツラいと少しでも思ったらやりません。
犬には、人が思っている以上に強い意思がありますから。
ガツンとリードショックが怖いからやってるって思われるけど、そういうトレーニングをしてたら本番(競技会)では、ショックを使ってはいけないのでやらない選択をできるってすぐ覚えちゃう。
本当に思ってる以上に犬は賢い。
強制では限界があるってことを競技者たちは気づいて、トレーニング方法も変化してきてる。
たぶん皆さんがイメージする脚側行進のトレーニングとは全然違ってきています。
先日の選考会でパートナー犬はずっと「鼻鳴き」をしていました。
初めての選考会で緊張もあっての「鼻鳴き」でしたが、それ以上に「正解」を求めていました。
私に明確な正解、つまりオヤツやボール、クリッカー、解放といったご褒美を期待して気持ちが自制できずに鼻鳴きしてた。
これは単なる要求吠えです。
自制に対するトレーニングがで足りなかった。
自制を促すために「やるな!」「するな!」では全く違う結果になる。
答えは、ただ「要求に応えすぎてた」ということ。
そのつもりはなくても、ご褒美を犬が要求するタイミングで与えてた結果。
必要なのは自分が自制すること。
犬の問題行動は、私が行動して作った結果でしかない。
先日の本部競技会では、鳴かなかった。
約2ヶ月間ご褒美や解放は「(あなたが)要求することではなくて、私が必要と思われるタイミングで」と言うルールを自分に徹底した。
そして課目も「一緒にやる」という姿勢を貫いた。
ご褒美や褒めは、「適切なタイミング」で「伝わる褒め」にしたことで、パートナー犬は以前より満足感を得ることができたようだ。
犬のことを考えられない人間に、犬は到底ついてきはしない。
見た目だけ、上辺だけで嫌悪することは簡単だ。
少しやってみてできない、だから犬の心にも身体にも負担が、科学的根拠がある、科学で証明されてる云々と批判してしまうのはあまりにも犬を知らない、トレーニングを知らなすぎではないかと思われる。
世の中には時短、簡単、優しいが最良の方法でそれを教えてくれたり、それができることが善でありそうでないことが悪という風潮を感じてしまう。
表面をなぞることで全てを知ったと誤解してる。
しかし、高度な感情と知能を持つ犬の思考は人が思うほど単純ではない。
だから、お互いを深く知り、細かく擦り合わせ、少しずつ理解し合いながら関係性を築いていく必要があるのだ。