競技のためのトレーナーとして思うこと | Having FUN Workingdog Training

Having FUN Workingdog Training

ドッグトレーニングのことなど綴っています

ポジティブトレーニングで教えてると、必ずある時点で停滞期を迎える。
克服しようとしても良くならない、もしくはより悪くなる。



トリックや一発芸ならそこで終わりなので行き着くことはないのだが、訓練競技やオビディエンス競技となると長い時間集中しなくちゃいけなかったり、高い意欲も必要になる。
何にも増して犬をコントロールできること、犬自身が自制を学ぶこと、犬の自主性、自発性が重要になる。

ポジティブトレーニングはオヤツやボールを使って学んでいけるので犬も人も楽しい。
しかし、伝えるポイントは厳格にしなきゃいけないし、そこでズレたタイミングやズレた優しさでオヤツやオモチャで褒めてると犬はイラついたりダレたりする。
全てがシステムマチックでタイトなタイミングで構築できないと厳しい。

そして膨大な練習量と反復が必要になる。
それをできる人は少ないし、できない場合ポジティブで競技用のトレーニングは難しい。

特に競技となると、おだてて犬任せで犬がトレーニング自体をコントロールしてるのを良しとしてきた場合、5分と持たない。
この関係を逆転させなければならない。
だからといって罰を使うわけではない。
犬が自力で正解を見つけてその補助をハンドラーがする。犬主体のようで、その始まりと終わりをハンドラーがコントロールをしっかりできるようにする。
犬は思っている以上に賢いから、自分で次やることを決めてしまう。
特に自主的にをこちらが求めているわけだから、それをやろうとする。
自主的にやっているのだからとついはじまりを仕切らせてしまうと着々と自分のやりたいことを浸透させ飼い主をコントロール下に置いていく。

そうなると多少なりとも「圧」によるコントロールをしていかないとどうにもならない。
スキルの高いハンドラーなら「圧」など使わなくても上手く導けるのだが、トレーニング経験も浅くスキルが低い場合はその状態が続いてしまい、いつもの場所やいつものタイミングでオヤツを使えない時や競技会では思ったような競技内容にならない。
犬がつまらなそうだったとか、いつもはできてるのにできなかったなど思ったようにならず、トレーニングのやり方が威圧的だったから上手くいかなかったなど不満に思う。
実はハンドラーのスキルの問題が原因。
私自身もそういう悩みを何度も乗り越えてきた。

さらに心が未熟なハンドラーに「圧」など強い言葉は、ハンドラーを萎縮させて上手くいかない場合もある。
そこの見極めはトレーナーとしては難しいなぁと思う。
こちらが一番最善だと思う事も受け取る側の器の大きさによってすぐに溢れてしまうこともある。

トレーナーとして、少しでも犬とハンドラーが犬と良い関係や良い状態にと思う気持ちはあるが、あまり一生懸命になりすぎてはお互いにストレスになる。
良くなるという足し算ではなくて引き算で接することも必要なのだと思う。
方法は教えられるけどやるやらないだけでなくできるできないも飼主の責任なんだと気づいた。
トレーニングとは自分の犬に対する責任をどこまで自覚するかで行き着くレベルも変わってくるのではないかと思ってる。

少しでも前に進みたいと思って努力できるそういう人に私の時間を使い、私のスキルの全てでトレーニングを教えたい。
犬のトレーニングはとても奥が深いし、それを覗いてしまうと本当に楽しくて楽しくてやめられなくなる。
どんどんトレーニングが好きになる。
それはもはやトレーニングではなくて遊びだ。