トゥラニズムという言葉が あります. 皮肉なことに トルコ語でなく、ペルシャ語で <中央アジア>を意味するそうで 字義的には <Tur の土地>という意味だそうです. "Tur" は 古代ペルシャの神の名だとか.(Wikipedia - Turan)
北欧神話の雷神 Tor も 確か 中央アジアの生まれだったような気がします. "Thursday" の語源になた神ですね. Tur と 関係あるのかどうかしりませんが.
トルコは アジアとヨーロッパの間にあります. そして いろんなものの狭間で 揺れ動いてます. 例えば キリスト教とイスラーム(教)という対立軸が あります. これと関連して、世俗主義とイスラームという対立軸も あります. 現代のトルコでは こっちの方が 深刻でしょう.
世俗主義は 現実生活では 欧米のファッションや 生活習慣を取り入れることに つながりやすいので、欧米の生活習慣・文化と 伝統的生活習慣・文化の対立と言う側面もあります. 以前 イズミルで <ヨーロッパよりヨーロッパ的>という表現を 見たことが あります. そこには <ヨーロッパ的なものは すばらしい>という価値観が あります.
これに対抗するものの一つに トゥラニズムが あります. トゥラニズムは 超国家主義とか 超民族主義とか 言われたりしますが、その範囲は ウラル・アルタイ系の言葉を話す民族全体の場合もあるし、チベット、朝鮮(韓国)、日本といった国々まで含めることすら あるらしいです. ただ、トルコで使われる場合には テュルク系民族全体の民族主義といったものを 意味することが多いと思います. つまりは <トルコ的なものは すばらしい>という価値観です.
テュルク系民族の住む領域は広大で、東は 東シベリアのヤクート族、中国のウイグル族、中国には サラール族、ユグール族といった民族もいます. 中央アジアには カザフスタンや ウズベキスタンなど おなじみの国が ならんでいます.アフガニスタン、イランなどにも トルコ系の民族は 住んでいます. ヨーロッパでは ルーマニア、モルドヴァに ガガウズ人というキリスト教徒のトルコ人が います. ガガウズ語は 現代トルコ語に 最も近い言語の一つらしいです.
トゥラニズムの是非について ここでは 述べませんが、欧米にあこがれる風潮が強まる半面、こういう力学も 働いていることは 事実でしょう.
アラビア文字で書かれたマンホール
トルコのMさんの説明では電話会社のものらしい.(イズミル)
