R は 色々・・・ | あぶくさぶく

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トルコ語あれこれ

R と L の発音は 外国語を習う際の日本人の 大きな悩みですが、どっちかというと L より R の方が 難しいですね. 日本語のラ行が R より L に 近いからだと思いますが. ラ行も L も 舌先を あごの裏(硬口蓋)に つけますから.
一方、R の方は 日本人には 舌先を(はっきり)つけない発音が むずかしいだけでなく、発音に ヴァリエーションが 多いのも むずかしいと感じる一因になってるんじゃないでしょうかね.

英語: 普通の R のほかに 巻き舌も ありますよね.
フランス語: 南フランスでは 巻き舌が 多く使われるそうですが、標準フランス語では 舌の奥のほうを あごの奥のほうに 近づけて 摩擦音めいた音をだす R が 使われます. 音節の頭に R が来る場合や 母音に続く場合(ex. regarder)は 摩擦音めいて聞えますが、子音に続く場合(ex. France, trente)は やや破裂音っぽく 聞えます.
中国語: 中国語の R は ほとんど J に 聞えるような 摩擦音. 英語やフランス語などの「Japon/Japan」は「日本」という漢字の 中国音 "riben" ないし 「日本国」という漢字の 中国音 "ribenguo" から 来ていると 言われます. ヨーロッパ人の耳にも そう聞こえるほど "riben" は "jiben (jipen)" に 似てるということですね.

さて、トルコ語にも 2種類の R が ありますね. 標準的な R は 英語とさほど違わないように 感じられます. もう一つの R は 摩擦音で シとか シュのように 聞え、標準フランス語の R に やや似ています.

Dizi の "Muhteşem Yüzyıl" では "Destur!" という言葉が よく聞かれます. この言葉は <貴人が お通りになるから 気をつけよ>みたいな意味で 貴人が 部屋に入る際などに お付のものなどが 叫びます、"Destur! Sultan Süleyman Han Hasretleri!" と 誰が通るのかを 付け加える場合も あります. これは お通りになるのが 男性か女性か 等によって 対応が異なるからです. 貴人の女性が お通りになる場合、男たちは 後ろ向きに立って 顔を見ないようにしないといけません. 貴人の男性の場合は、女たちは 後ろを向く必要は ありません・・・というか 逆に 失礼になります、多分. 前置きが 長くなりましたが、この "Destur!" の語尾の R 、"Muhteşem Yüzyıl" の最初の方の回では 摩擦音の R が 使われていたのですが、どの回からか 標準的な R が 使われるようになりました. 憶測なんですけど、摩擦音の R は 訛りであるというような認識があって、国民的ドラマで、しかも 宮廷の場面で そのような訛りを 使うのはどうか・・・みたいな 意見があったのかも・・・なんて 考えたりしてます. 考えすぎでしょうけど.

余談ですが、この "destur" という言葉、トイレに入る前にも 使うことがある (あった)という話を 聞きました. 昔の薄暗いトイレに 入る際、妖怪(ジンニ)などを 追い出すため「DESTURRR!!」と 叫んでから トイレに入った・・・というんですが、ひょっとしたら 冗談で そう言っているのかも しれません. どっちにしても 今の明るいトイレには 必要なさそうです.

個人的には 女の子が 摩擦音で "VaR!" というのは とても可愛いと思う.

結局のところ、R の発音は 何でもいいから、とにかく L とは 違うことがわかるよう発音すること・・・と 考えてます


古代ギリシャの彫刻 (イズミル考古学博物館)
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