<キャラヴァンサライ>なら ご存知の方も 多いでしょうか? <ハン "Han">は <キャラヴァンサライ、隊商宿、"Kervansaray">と だいたい同じものと 考えていいようです. 要するに、旅商人に 安全な宿を提供するための施設ということ. ただし、"Kervansaray" の方は通常 町の外にあって 宿を 武力攻撃から守る砦としての機能ももっていたのに対し、"Han" の方は どっちかというと 町の中にあるため、砦の機能は薄く、市場・商店街としての機能に 重きを置いたもの・・・と考えればいいのかなと 思います.
鉄道が普及するまでは、こうして 隊商や旅商人などによって 商品が 運ばれたわけですね. 振り返って 日本の江戸時代ことを考えてみると、日本に Kervansaray や Han がなかったのが かえって不思議に思われます. 日本では 船による輸送が 有名ですが、陸路の輸送も 相当需要があったと思うんですが、日本の場合は 砦の機能が不要だったから 普通の旅籠で足りたんでしょうかね.
エーゲ海沿いの町、イズミルには たくさん Han として使われた建物が 残っています. たとえば Bozkurt Ersoy 著 "İzmir Hanları" には 100箇所以上の Han が 挙げられています. イズミルは もともと 綿花やドライフルーツなどの アナトリアの物産を輸出し、海外から コーヒーなどを輸入することで 栄えた町だったそうで、そのために Han や 倉庫、加工工場などが たくさん建てられたようです. 現在のイズミルでは、Kemeraltı と呼ばれる地域を中心に いくつかの Han が 見られます. また、"Kızlarağası Hanı" という Han が レストアされて 観光客に人気のスポットに なっています. "Kızlarağası Hanı" は 別格ですが、イズミルにある その他の Han は ほとんど 保存の手が打たれていません. 早く保存の方向に 動き出してくれればと 思います. 観光にも 役立つんですから.
Han は 昔作られた古い施設・・・と ばかりは 言えません. 現代でも ビルの中に "◇◇◇ Hanı" などと名づけられた一角が あったりします. この場合は "Pasaj" に近い意味になります. "Pasaj" は イスタンブルの "Çiçek Pasajı" が有名ですが、もともとは フランスから来たもの. 客が散策できるプロムナードを中心に両側に商店、飲食店などが並んだ構造. ちなみに Pasaj も 街中の ひょんな場所に あったりします. 現代の Han も Pasaj も 大部分は 数軒~10軒程度の商店が並んだだけの 小規模なものです. もちろん、現代では <商人宿>の機能は(多分)ありません.
参考リンク
[Kızlarağası Hanı]
[T.C. Başbakanlık Vakıflar Genel Müdürlüğü]
[Avanos Evi]
Büyük Karaosmanoğlu Hanı
