健一さん、今日は外出の許可がおりたのですね
ああ
だいぶ良くなったからね
もうそろそろ退院じゃないのかな
よかったね
はい
私には夢があります
夢って何
後で教えます
健一さん、何か大事なことを忘れていませんか
何だったかな
もういいです
ごめん、ごめん
怒ってしまった
いえ
待っています
本庄さんがいじめられているところを俺が助けただろ
その後に海に行ったのは覚えているよね
もちろん覚えています
今から、そこの海に行くんだ
病院から遠いのではないですか
おんぶもしてもらっていますから
偶然に病院の近くなんだ
そうなんですね
ああ
外の空気はいいですね
透き通っていて心も体も綺麗になるような気がします
そうだよね、入院していると窮屈だから解放感がありますね
はい
もうすぐ着くよ
海が少しずつ近づいてきましたね
あの時と同様夕暮れ時か
そうですね
黄金色に輝いています
本庄さん、ここに座ろう
はい
波の音がすぐ近くで聞こえると心地よいね
そうですね
いつまでもこうして健一のそばに寄り添いたいです
本庄さんにプレゼントがあるんだ
何ですか
小学校の時にさ俺と本庄さんと二人の絵を
描いてもらったのを覚えている
はい
その時の思い出の絵だよ
本庄さんを驚かそうと前もって近くに置いていたんだ
ありがとうございます
嬉しいです
ピースしているだろ
あの時のままだね
本当ですね
健一さん、似ていない
本庄さんこそ似ていないよ
健一さん、ゴリラみたい
本庄さんこそ鶏みたいだぞ
ハハハ
ふふふ
この絵は思い出として大事にしよう
そういえばホタルも見に行ったね
ホタルは綺麗でしたね
本庄さんの肩に止まってさ
そうでしたね
ホタルの寿命は短いと聞きました
私もホタルなのかな
そんなことはないよ
あまりそういうこと言わないでくれよ
俺が悲しくなってしまうじゃないか
ごめんなさい
本庄さんは今も輝いているよ
本当ですか
ああ
話を変えよう
話題がなんか暗くなっちゃったね
ところで足は痛くない
さっき痛み止めの注射をしてもらいました
よかった
健一さん
入院してから少しずつ足が動くようになったような気がします
そうか・・・・
どうしました急に元気がなくなりましたよ
いや、気のせいだよ
そういえばタンポポをくれたよね
はい、吹くと飛んでいきました
健一さんと一緒に吹きましたね
最初、健一さんが吹いて
次に私が吹きました
でも、私もしばらくしたら飛んでいくのかな
タンポポが飛んで行くってどういう意味
いえ
本当に飛んで行きそうで
大丈夫だよ俺が離さないから
ありがとうございます
ラジオ体操は辛かったです
体を自由に動かして
私だけベンチに座っていて寂しくみていました
どうして私だけ
そう思っていました
そうしたら健一さんが違うベンチに連れていってくれて
一緒に手だけを動かしてくれてラジオ体操をしてくださいましたね
そんなこともあったね
はい
あれが本当の優しさだと思います
それから健一さんのことがますます好きになって
今、ここに二人います
中学校に転校してから
いじめられました
同級生からは、からかわれたり
足を蹴られたり、髪を切られたり
そこを健一さんが助けてくれて
柔道でバサバサ投げ倒してかっこよかったですよ
もともと本庄さんが小学校を転校する時に
連絡先を聞くのを忘れていたんだよね
そうですよね、私も肝心なことを忘れていました
前も話しましたけど
私の話し方が悪いこと
足が不自由なことなど私の悩みを
この海辺で相談にのってくれましたね
健一さんがおんぶしてくれて走ってくれましたよね
あんなに早く動いたのは初めてで
その後に波打ち際もゆっくり歩きましたね
嬉しかったです
何事も初めての経験ばかりで新鮮でした
そうだったね
それまでの私の苦しみを健一さんが
優しく受け止めてくれてくれました
でも、今でもその思いは心の中にあります
そうだったんだ
なかなか、そういう思いは消えないからね
生まれつきからのものもあるし
俺は父親に対するコンプレックスがあったよ
朝から飲みやがってさ
軽蔑していたよ
でも、最近いろいろあって頑張っているよ
人間変わっていくよ
そうですね
健一さんね
どうした
私も夢があります
少しずつですけどリハビリをして
少しでもいいから足が動くようになって
そのためにも苦しくても頑張ります
それから身体障害者の施設で働いて
障害をもつ方に少しでもお役に立てたいと思っているの
左足が不自由だけだからだけだから大丈夫でしょ
頑張ればなんとかなりますよね
健一さん
健一さん
健一さん、どうされました
どうして黙っているの
健一さん
私が言ったことは何か間違っているのですか
言ってください
不安になるじゃないですか
ああ
どうして涙を流しているのですか
いや、気のせいだよ
どうして
声がちがいますよ
暗くなってきたね
そうですね
健一さん、大丈夫ですか
何か悪いことを言いましたか
健一さん、どうして泣いているのですか
健一さんらしくないじゃないですか
もしかして私はもう歩けないのではないですか
そうなのですか
どうして黙っているのですか
辛いことを思い出しただけだよ
(健一、お前はそんなに情けないのか)
(父さん)
(お前はそれでも婚約者か情けないぞ)
(彼女を守ってあげるのは誰だ)
(もちろん俺しかいないよ)
(二人で頑張ってきたことは何だ)
(お前たちの祈りだよ)
(それを信じろ)
(それを忘れるな)
(決して忘れるな)
(ああ、わかったよ、父さんのおかげでな)
(ありがとう父さん)
健一さん、何か考え事をしていたのですか
(健一、お前はそんなに情けないのか)
(父さん)
(お前はそれでも婚約者か情けないぞ)
(彼女を守ってあげるのは誰だ)
(もちろん俺しかいないよ)
(二人で頑張ってきたことは何だ)
(お前たちの祈りだよ)
(それを信じろ)
(それを忘れるな)
(決して忘れるな)
(ああ、わかったよ、父さんのおかげでな)
(ありがとう父さん)
健一さん、何か考え事をしていたのですか
よし、本庄さんもう一回おんぶしてあげる
はい、良かったです
健一さんが元気がでてきて
よし、ほら
本庄さん、いい
あの時みたいに走るよ
はい
キャー
ハハハハ
今度は転ばないでくださいね
ああ
わああ
キャ
嘘だよ
もう
疲れたから、また座るね
少し休憩
花火を二人でしたのは覚えている
はい
綺麗だったよね
そうですね
線香花火に大きな花火
あの時に中学校になったら結婚しようって言ったよね
だから2回プロポーズしたんだよね
そうですね
健一さんが中学校になったらと言うから、びっくりしました
本当は忘れていないよ
何をですか
結婚式さ
ここでですか
思い出の海だろ
教会よりいいよ
私も健一さんがそばにいてくれるだけでいいです
じゃあ、始めるよ
か~ん、か~ん
鐘の音ですね
なんじは俺を愛するか
はい
なんじは本庄さんを愛するか
はい
なんか違うな
そんな冗談はいいですからキスしてください
ああ
本庄さん、指輪じゃないけど
これは最後の折り鶴だよ丁度1000羽になっただろ
約束どおり最後の折り鶴は俺が折ったよ
わあ、綺麗
今でも飛んで行きそう
本庄さんも飛べるようになるから
いえ、それは出来ません
パト専でさ俺は再起動しか習っていないって言ったろ
本当はそれでよかったんだよ
再起動したら立ち上がるだろう
そこから立ち上がってみて
無理です
いいから
はい
健一さん立ち上がれました
折り鶴は本当だったのですね
二人で頑張って折ってきたじゃないか
歩いてみて
はい
一人で歩けます、一人で歩けます
最後の折り鶴は本当は飛べるんだよ
飛んでみて
はい
飛べました
もう、辛い思いはしないよ
みんなに遠慮しなくてもいいんだよ
自分を責めなくてもいいんだよ
奇跡はおきたよね
折り鶴を頑張って折ったのは無駄じゃなかったんだよ
祈りが届いたんだよ
はい
じゃあ、二人手をつないで走ってみよう
はい
キャ
わあ
そろそろ歩いて帰ろう
完
ほら、ジャンプすることだって出来る
君は自由だよ
もう悩んだり苦しんだりすることはないよ
中村さん、トイレまで行きましょうか
ありがとう、本庄さん
主演 本庄 静香
主演 山村 健一
奇跡はおきたね
お母さん、アイス買って
健一さん買ってあげてください
仕方ないな