タイトル 夏への想い
太平洋戦争の末期に知覧から特別特攻隊という部隊が編制され、アメリカ空母に突撃攻撃します
当然生きて帰れることが出来ません
この話はその特攻兵と女学生達の淡く、切ない話になります、よろしければご覧ください
第1話 恋の実
君、木に登って何をしているの
柿を取っています
制服のスカートの中から白いものが見えているよ
え
もう、恥ずかしい
見ていたのですか
いや、見えたんだよ
仕方ないだろ
普通は見ないでしょ
ごめん
見えてしまったんだよ
それで、ずっと見ていたんですか
ああ、少しだけね
もう、いやらしい
ごめん、ごめん
降ります
その方がいいよ
それで柿はとれたのかな
はい
一個ほしいな
あげません
いやらしい人には
あげません
だって仕方ないだろ
見えたんだから
普通はすぐ目を閉じるでしょ
だいたい
君がスカートで木に登るのがいけないよ
ズボンで登らないと
そうですね
じゃやあ一個だけあげます
がじ
美味しい
あ、でも渋柿じゃない
え、そうですか
食べてみて
はい
え
本当ですね
君は女学生なの
はい
もしかして兵隊さんですか
ああ
そうだったのですね
ごめんなさい
いや、僕の方が悪いよ
ちょっと待ってくださいね
ああ
家から持ってきました
この柿を食べて下さい
甘い
そうでしょ
私もさっき食べました
そうか
僕は達夫というんだけど
君は
小百合といいます
小百合さんか
きれいな花の名前だね
君にぴったりだよ
もう
恥ずかしいことばっかり
言わないでください
そうやって
女性に言っているのではないですか
いや
そんなことはないよ
ふって思ったんだよ
僕ってロマンティストかな
そういうことにしておきます
あ、ごめんなさい
兵隊さんにこんな失礼なことを言って
気にしなくていいよ
やはり特攻兵の方ですよね
ああ、そうだよ
ここは知覧だからね
ほとんどそうだよ
特攻兵の方には優しくするようにと
先生に言われているのに
ごめんなさい
いや
気にしないで
僕が悪いから
いえ
よかったら
散歩しない
私でいいのですか
もちろん
いえ、恥ずかしいです
さっきスカートの中をみせるくらいだから
平気だよ
恥ずかしいです
大丈夫
行こう
あ
どうしたの
手をつなぐのですか
そうだよ
やっぱり恥ずかしいです
大丈夫
みんな見ていますし
大丈夫
わかった
手を放すから
行こう
はい
知覧は武家屋敷が多いんだよね
はい
やっぱり恥ずかしいです
帰ります
気にしなくていいのに
じゃあね
はい
第2話 お世話の当番
今日から兵舎での当番をすることになりまし
小百合といいます
あ、小百合さん
達夫さん
君が今日から当番なの
はい
下着とか洗ってくれるんだ
はい
君は可愛いな
達夫と知り合いなのか
いえ、昨日ばったり
そうですよ
少尉
実は
いえ、言わないでください
はははは
わかったよ
名前は
小百合といいます
そうか
俺のパンツは臭いけどいいか
はい、大丈夫です
佐々木少尉、可哀そうじゃないですか
はははは
小百合さん
俺の恋人になってくれないか
君は恋人はいるのかな
いえ
だったらいいじゃないか
いえ、学校で特攻兵の方とのお付き合いは禁止されています
そうか
それは残念だな
そうですよ
佐々木少尉
女学生をからかったら
駄目ですよ
そうだな
今日からよろしくな
はい
留美、遅いじゃない
ごめんね
私は留美
今日からここの当番よ
よろしくお願いします
君は明るくて元気だね
はい
よく、そう言われます
僕は佐々木というんだ
佐々木さんですね
いや
佐々木少尉だからね
少尉なんですか
すごいですね
まあね
君は恋人はいるのかな
今、探してます
俺がなろうか
どうしようかな
いいじゃないか
考えときます
はははは
君は面白い子だね
俺のパンツは臭いぞ
いいかな
駄目です
自分で洗ってください
はははは
これはやられたよ
まあ、よろしくな
はい
元気があってよろしい
はい
小百合は真面目だから
からかわないでくださいね
ああ
よくわかったよ
佐々木さん
いえ、佐々木少尉
どうしたの
留美
どうしたのですかでしょ
ああ、そうね
いや
涙を流してますよ
もういいよ
帰りなさい
はい
佐々木さん
元気をだしてね
留美
佐々木少尉よ
あ、そうね
小百合
どうして
佐々木さんは泣いていたのかな
留美
あなたも
わからない人ね
だって仕方ないでしょ
そうだけど
御国のために戦うのだから
こんな幸せなことはないでしょ
留美の馬鹿
どうしたの
小百合
もう、走って帰らなくていいのに
おはようございます
おはよう
元気だね留美ちゃん
そうですよ
佐々木少尉
佐々木さんでいいよ
本当ですか
だって
佐々木少尉って長いでしょ
そうだな
もう
留美ったら
達夫さん
そういえば
ああ
僕は上杉だよ
一応軍曹かな
上杉軍曹ですね
僕も上杉さんでいいよ
いえ、上杉軍曹です
気にしなくていいのに
ああ、そうだよ
上杉って呼び捨てにすればいいよ
駄目です
佐々木少尉
だから
佐々木さんでいいって
言っているだろ
いえ、駄目です
俺がいいっていっているんだから
わかりました
佐々木さん
そうだ
それでいい
よし
上杉
そろそろ
訓練に行くか
はい
気をつけてね
気をつけてください
ああ
君達もちゃんと
宿題しろよ
わかってますよ
ははははは


