先日、ある会社のIR担当者との打ち合わせでのことです。
その会社の主力事業は、あまり今後の成長が期待できない事業です。
ゆえに、数年前から別の新規事業を立ち上げました。
この事業が今や主力事業に取って変わり、売上の半分を占めるまでになりました。
言うまでもなく、この会社の大きな成長ドライバーです。
打ち合わせでは「次の説明会でこの新規事業を中心に説明を組み立てていこう」という
話をしていたのですが、
さらにこの新規事業について話を聞いていくと、驚いたことにこの新規事業は現場のある
1人の社員の発案から始まったもので、当初は社内でも反対する人が大半を占めていた
そうです。なんと営業の責任者すらも反対していたそうです。
ただ、経営陣は「やってみれば」とまるでサントリーの「やってみなはれ」的なスタンスだった
そうで、IR担当者の方も「これが当社の社風なんです」と言っていました。
また、当時この新規事業に対し、経営陣がそのようなスタンスを取れた背景として
□主力事業の利益率は低いが、比較的安定している。
□結果、これまでの利益の蓄積により、財務基盤を厚くすることができた。
(無借金のキャッシュリッチ会社!)
そう、この会社は良くある高財務体質でROEの低い会社です。
一般的な株主や投資家目線では、「株主還元を強化して、ROEを高めろ!」 と言われて
しまうような会社です。
しかし、この会社のビジネスモデル(キャッシュフローの流れ)を踏まえると会社の継続
(安全性)を考えた場合、ある程度の余裕キャッシュが必要となります。
その結果、高財務体質の会社になり現在に至るのですが、
一方で、この高財務体質と(それに基づく)経営者の懐の深さが新たな成長ドライバーを
産んだとも言えます。
このような会社のDNA(または成長ストーリー?)的なことは、投資家や株主が外から見て
いてもなかなか解り難いのですが、会社をより深く理解するためには不可欠なことです。
IRをサポートする立場としては
「このようなことを発行会社から引き出し、投資家や株主にしっかり伝えていくサポートをする」
ことは必須ですし、またこのようなことができるのもIR支援というビジネスの醍醐味の一つだな!
とこの打ち合わせの後、あらためて感じました。