吉川洋之の企業成長サポートブログ

吉川洋之の企業成長サポートブログ

IR支援会社の運営およびエグゼクティブ・コーチとして活動する吉川洋之の公式ブログです。

シエーナでは企業のハラスメント対策のサポートも行っております。

 

ハラスメント対策というと、
一般的にパワハラ対策やセクハラ対策など

対処療法的なイメージが強いのですが、
本来の目的は

”ハラスメントの起きにくい企業風土に変える”

ことにあります。

ハラスメントの起きにくい企業風土に変えることは、
すなわち社員が定着し、安心して働ける組織を作り上げることであり、

これは俗に言う心理的安全性の担保された職場です。

 

このような心理的安全性の確保された職場は言うまでもなく、

従業員満足度が高まり、

その結果企業の生産性が向上するということは、

多くのデータからも明らかになっています。

人的資本経営が重視される昨今、
ハラスメントの起きにくい企業風土を作り上げることは、
多様な人材を受け入れ、思う存分活躍してもらい、

企業価値を高めていく上で不可欠です。


企業にとって、

ハラスメント対策はまさに成長戦略なのです。

あるセルサイドアナリストと話しているときに出たフレーズで、

とても印象的だったので、今日はそのことについて書きたいと思います。

 

パーセプションスタディの一環として、

ある上場企業についてのフィードバックを聞いているとき、

「成長ストーリーを描けると長期投資に繋がりやすい」という話が出ました。

 

成長ストーリーとはどのようなものか?ということですが、

「掲げる目標(結果)にたどり着くまでのプロセス」で、

さらに「これを丁寧に説明することが重要だ。」
とこのアナリストは説明してくれました。

 

これは至極当然のことのように思えますが、

あらためてその重要性を再認識させられました。

 

例えば、今回フィードバックを伺っていた対象となる会社のケースで言うと、

この会社は元々あるニッチ分野でシェアトップの製品を製造・販売していますが、

年々競争が激しくなり、シェアを落としてきています。

 

しかし、開示されている情報を元に成長ストーリーを描くことで、

次のようなロジックが成立します。

 

 ➀ この製品の販路を拡大してきていて、新たに大きく販路が拡大する
         ↓      ↓      ↓
 ② 投入する新製品が革新的で、競合製品に比べ非常に競争力がある
         ↓      ↓      ↓
 ③    ➀販路拡大 × ②競争力のある新製品投入 
       ⇒ シェア奪還し、トップブランドの復活

 

 

このような成長ストーリーを描ける企業は、

投資家に大きな成長期待を抱かせ、関心を引きつけます。

また、このような成長ストーリーに基づいて投資した場合、

シナリオが余程大きく変わらない限り、投資を継続することが期待されます。

これが「成長ストーリーを描けると長期投資に繋がりやすい」という理由です。

ここまで読まれた方は「当然だろう」と思うかもしれませんが、

意外とこのような説明をできていない上場会社も多く見受けられます。

これは、セルサイドやバイサイドといったプロの人々だけでなく、

個人投資家に対しても同じです。

株主や投資家に「長期投資して欲しい」と望むのであれば、

まずは「成長ストーリーを描き、

長期で成長していくというストーリーを明確に伝える」

ことが第一歩ではないでしょうか。

 

 

7月に入り、今年もあっという間に折り返し地点を過ぎましたね。

3月決算企業のIR活動や株主総会も一段落し、

お客様も少し落ち着きを取り戻す時期ですので、

例年この時期は比較的ゆったりとしています。

 

そんな感じですので、

この5・6月に開催した決算説明会や

その後の1on1ミーティングについて振り返ってみますが、

明らかに1年前とは異なる点がありました。

 

それは、決算説明会の参加者や1on1ミーティングの相手先として、

これまでに聞いたことのない名前の投資家が増えたことです。

調べてみると、既存の投資家から独立した投資家や

海外から日本市場に新たに参入してきた投資家など実にさまざまでした。

 

株式市場に流入する資金が増えていることを考えれば当然とも言えますが、

投資家の数が明らかに増えている印象を強く受けました。

 

また、もう一つ1年前と異なる点として、

時価総額の小さい企業にもこれらの投資家が

しっかりとリサーチを行っているということです。

 ※ここで言う時価総額の小さい企業とは、

  300億円未満の時価総額企業です。

  俗に言うスモールキャップというよりは、

  マイクロキャップですね。

 

これまで決算説明会にほとんどこれらの投資家が参加しない、

1on1ミーティングの機会もほとんどないような企業にも

これらの投資家が参加しているケースをしばしば見かけしました。

 

このような事象は非常に喜ばしいことです。

投資家の厚みが増すことで、

これまで投資家との接点があまり多くなかった

時価総額の小さい企業も投資家との接点が増えることで、

これまで以上に株式市場からの刺激を受けるはずですし、

株式価値向上に向けたアクションがより一層活発になるはずですので。