トルチェッロ島などラグーン3つの島巡り:ヴェネチア年末年始 2010-2011・5日目 | いばりこぶたの 気ままな生活

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【いばりこぶたの2010年-2011年 ヴェネチアでの年越し・その5】
2010年から2011年にかけての年末年始、ベネチア6日間の旅を堪能しました。5日目の1月2日(日)はムラーノ島・ブラーノ島・トルチェッロ島のベネチア・3島めぐりで一人20ユーロとお安く、思っていた以上のお値打ち感でした。中でもサンマルコ広場の喧噪とは好対照の、荒れ果てた静けさに包まれたトルチェッロ島はぜひとも訪れる価値があると思います。(2011年にこのブログに掲載した文と写真を少し改変しました。)

 

現地ツアー会社のセレニッシマ・モトスカーフィ社 SERENISSIMA MOTOSCAFIが主催・運行するもので、参加者は世界各国からヴェネチアにやってきた総勢約50人の大所帯でした。これは二番目に訪れたトルチェッロ島でのそぞろ歩き中に撮りました。思い出深い場所です。
 

2011年1月2日の日曜日の昼下がり、天気は薄曇り、日本語ガイドを目指す陽気な青年アンドレアが立つ「ダニエリホテルと牢獄の館の間にあるチケット売り場」に集合です。実際のガイドさんは年配の女性で、船での移動中にすべてイタリア語と英語・ドイツ語・フランス語で解説してくれました。スペイン人がいなかったのでスペイン語の解説はありませんでしたがスペイン語もペラペラの凄いおばあちゃまでしたけど、日本語は残念ながらしゃべれない、とのことでした。
 


ムラーノ島に到着しました。


ボートを下りてぞろぞろとムラーノ島のガラス工房へ。



すぐ目の前でヴェネチアングラスを製作する行程を見学します。このあとみやげ物売り場に行き、美しいシャンデリアなどがたくさん並んでいて、クラクラしました。

 


予定ではこのあとブラーノ島に行って最後にトルチェッロ島という順でしたが、日暮れが早いためかトルチェッロ島へ先に向かうことになりました。写真は同じグループのお茶目なお兄さんです。

 


二番目に訪れたトルチェッロ島 Torcello。船着き場から広がる荒涼とした沼地を眺めつつ、水路沿いを歩いていきます。この島への定住は5世紀とヴェネチアの歴史では最も古く、7世紀から10世紀まで栄えたのですが、マラリアが蔓延したために一気に人口が激減したのだそうです。


これは「悪魔の橋 Ponte del Diavolo」には欄干(手すり)がありません。小さい女の子を連れたお父さん、大丈夫かしら。
 


道沿いに猫の楽園みたいな住宅がありました。


出入り口にも猫。

 

植え込みにも猫。まさに猫屋敷です。

 


ようやくサンタマリアアッスンタ聖堂 Basilica di Santa Maria dell' Assunta に到着しました。ヴェネチア最古の教会の一つだそうです。

 


須賀敦子さんがイタリア人の夫の死後に、ここ、トルチェッロ島のサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂を訪れ、モザイクの聖母子像についてエッセイ「地図のない道」に描写しています。


「しばらくじっとしていると目が暗闇に慣れて、
ほのぐらい祭壇のうしろの丸天井のモザイクがうっすらと金色に燦めきはじめた。

天使も聖人像もない背景は、ただ、
くすんだ金色が夕焼けの海のように広がっているだけだった。
それが私には天上の色に思えた。

金で埋められた空間の中央と思われるあたりに、
しぶい青の衣をまとった長身の聖母が、
イコンの表情の幼な子を抱いて立っている。
聖母も、イコン独特のきびしい表情につくられていた。

その瞬間、それまでに自分が美しいとした多くの聖母像が、
しずかな行列をつくって、すっと消えていって、あとに、
この金色にかこまれた聖母がひとり、残った。

これだけでいい。そう思うと、ねむくなるほどの安心感が私を包んだ。」
  (須賀敦子「地図のない道」より)

 

これはサンタ・フォスカ教会堂 Chiesa di Santa Fosca。

 


左奥に、磔に使われたというアッティラ王の石の椅子 Trono di Attila があります。


古びたレンガの塀を見るとなんとなく切ない気分になります。
 

同じグループのお嬢さん、さっきまで大人に従って元気に歩いていたのですけれど、とうとうだだをこね始めてしまいました。

はるか遠くの左の方に白いドロミテの山並みが見えます。

 


すっかり日が暮れる頃、トルチェッロ島をあとにしました。


最後に訪れたブラーノ島は、船乗りが家を思い思いの色のペンキで塗っていて、とってもカラフルな町並みです。

 

レースを売る店などを覗いているうちに段々と日が暮れてきて、正月の2日だというのに広場にはほとんど観光客がいません。



それでもカラフルな建物が並ぶ島の大通りではこんなに楽しい雰囲気に包まれていました。

 

それに引き換えその前に行ったトルチェッロ島の寂寥感といったらいかばかりか、と、ひとしお切ない気分に満たされる夕べとなりました。