米子東高校野球部から学ぶ合理的思考法 | 石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

▼待望の著書 #ゼロ・グラヴィティ理論 が4月刊行▼過度なウエイトトレ不要の世界を目指し"7つ"の新法則を提供中。ストレッチ,トレーニング,スポーツ動作の指導が得意▼2019年北海道〜沖縄の全国で受講者数229人/3月現在▼株式会社カラダラボ代表取締役


今年の春に行なわれる選抜高校野球大会に数少ない公立高校、

鳥取一の進学校である『米子東高校』が選出された。


進学校や公立高校の春の選抜高校野球大会への出場というと、

21世紀枠での出場が多いが、米子東高校は昨秋の中国大会で

倉敷商業高校、開星高校といった甲子園常連の強豪校を撃破し

中国大会準優勝。21世紀枠ではなく実力で選出となった。

しかも、部員数は16人という人数の中、1年生が4人も出場している。

特別な練習施設があるわけでもなく、

全体練習の時間は平均1日3時間程度。

 

ではなぜ米子東高校はセンバツ出場という成果を出すことができたのだろうか。

米子東高校監督の紙本監督はこう言います。

☑︎捨てる勇気
☑︎監督に必要な下準備
☑︎ 文武"両道"ではなく、文武"不岐"
☑︎24時間を使い切る
☑︎甲子園に行くとどんな良いことがあるのか考える
☑︎ユニークなタイムマネジメント
☑︎週末の全体練習は午前10時半終了


まず、『何かを捨てる勇気を持とう』と紙本監督は言う。


『何かをする』ということは、イコール『何かをしない』ということ。
いま『何をすべきか』ということより、『何をすべきでないか』の方が大事ということだ。

今、ウエイトトレーニングをして身体を大きくすることが流行っている。


以前もブログで紹介したイチロー選手は身体を大きくするということは、

運動パフォーマンスを上げる上でナンセンスだと説く。


イチロー選手自身も身体を大きくするウエイトトレーニングを

数年行った上での経験談なので非常に説得力がある。

イチロー選手のウエイトトレーニングの考えは以下のようである。

・生まれ持った身体のバランスを大切にする
・筋肉を鍛えすぎると腱と関節に負担がかかる
・ウエイトトレーニングの機会を減らすとスイングスピードが速くなる
・自分にもって生まれたバランスが絶対ある。それを崩してはいけない


イチロー選手は無理なウエイトトレーニングが自身の身体に合わない

と気づいた日からウエイトトレーニングを捨て、

柔軟性を獲得するストレッチや初動負荷のトレーニングを選択したのだ。

また、紙本監督は、

「甲子園に行くとどんな良いことがあるの?」と選手たちに考えさせている。


これは言葉で「甲子園に行きたい!」というのは簡単であるが、

人間は楽な方に流れてしまいやすい。


ただテーマもなくトレーニングを続けるのと、

テーマを見つけてトレーニングをするのでは効果が変わってくる。

だから、習慣形成をし、まずやらないといけないことを目標設定させる。
米子東高校では生徒が目標設定をするときは、

達成しているところが映像でイメージできるように設定しているそうだ。

私もトレーニングを指導するとき、

選手目線でいうと「えっ?これ意味あるの」と迷いが発生する時がある。


ここで必ず必要なのは「テーマ」である。
これを冒頭に説明でき、納得した中で行うか否かは、

同じトレーニングを行っても効果は大きく変化してくる。

ウエイトトレーニングでも同じことが言えるであろう。
鍛えたほうがいい筋肉、

鍛えないほうがいい筋肉は季節によっても変わってくる。

ウエイトトレーニングにはメリットもある。

・身体が見た目から変化
・数値で管理できる
・数値化により第三者も効果を見れる


だが、身体をウエイトトレーニングで大きくし、

筋肉を付けてもその筋肉を活かせなければ何の意味もない。


選手に必要なのは運動パフォーマンスを上げることであり、ただ身体を大きくすることではない。
身体を作るのは重量ではないのだ。

"身体をどう動かすか" という情報で形成されている。

①屈曲 - 伸展
②外転 - 内転
③対角線運動
④外内旋を含む対角螺旋運動


この四つの組み合わせ運動を、

どう情報として脳にインプットするかが、本質的に身体を作ることである。

何かを捨てる勇気、目標設定を大切にし

自分の成長段階に合わせ、必要のないものは捨て、

今、何をすべきなのかとよく考える必要がある。

自身の成長過程で世の中には必要のないものが沢山ある。
それを見極める感性が必要となってくる。

そして、春の選抜高校野球が3月23日に開幕する。
米子東高校の対戦相手は昨秋の全道大会と

明治神宮大会を制した札幌大谷高校に決まった。


米子東高校にはぜひ一つでも多く勝利を掴んでほしいと思う。