先日バスケ男子日本代表が21年ぶりに自らの力で
ワールドカップ出場を勝ち取りました。
連敗続きで後がない状態まで追い込まれていましたが、
オリンピック出場に一歩前進したのではないかと思います。
ニュースでは「選手」が多く取り上げられていますが、
影では多くの方が貢献をしているのです。
それは、2016年に日本バスケット協会に新設された
「技術委員会」のトップに抜擢された
東野智弥(ひがしのともや)技術委員長です。
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長年、東野氏が研究テーマとして取り組んだのは
世界の強豪国のひとつである、アルゼンチンのバスケットボールです。
同国男子代表はアテネオリンピックで金メダルを獲得し、
北京オリンピックでは銅メダル。
続くロンドンオリンピックでも4位入賞といった好成績を収めています。
かつてはオリンピック出場から遠ざかっていたアルゼンチンが
世界を相手に戦えるようになったことに着目し、
その強化や育成法などを調べ、
まとめ上げた東野氏の論文は2011年に早稲田大学最優秀論文賞を受賞。
また、学究的なアプローチだけではなく、
コーチとして現場に立ち、結果を残しているのです。
今まで培ったキャリア、彼の行動が今回の快挙に繋がっていると言えます。
強化育成のシステムそのものを一緒に変える
男女のA代表、男女のB代表、U-22(22歳以下)、
U-18、U-16といった5つのカテゴリーを作り
各チームに繋がりを持たせて活動をし、
良い選手は飛び級で上がれるようにする。
アルゼンチンでもこの手法をを取り入れ強化をしているのです。
加えて、早い段階で身長の高い選手を上手くさせるという強化も始めた。
例えば、12歳のときに何cm以上、14歳で何cm以上などと基準を設け、
その身長に達していれば上手い、下手は関係なく強化するといった方針に変えた。
当時の日本では、選抜チームなどで、
上手い選手や強豪校の選手が集められていましたが、
身長はそこまで気にしていなかった。
そうすると、中学、高校と上のカテゴリーに進むにつれ、
身長の高い選手はどんどん振るいに掛けられ、
先細りになってしまう状況。
いざ、日本代表で強化しようとしても候補が限られてしまい、
十分な準備が出来なかった事に気付くのです。
したがって、バスケットの能力の高い選手を選抜するだけではなく、
身長の高い選手を上手くさせる形での強化も同時に
取り組まないと世界と対等に戦う事はできないのです。
日常を世界基準にする
東野氏は選手に『日常を世界基準にすること』を強く求めています。
今の日本に欠けていたのは3つ。
世界レベルでのメンタルとフィジカルとスキルを強化する為に、
新しくテクニカルハウスを作り、映像分析するアナリスト、
パフォーマンスコーチ、スキルコーチ、メンタルコーチといった、
それぞれの分野のサポート部隊を召集し、世界基準を強調した。
特にパフォーマンスコーチによる日本人に合った体の使い方、
個々に応じた目標値を設定した事で
日本人の弱いフィジカル基準を引き上げてくれたと言えます。
世界でも戦える有望な選手達
強化システムを変え、日常を世界基準にすることを求め続けた結果、
最近では渡邊雄太がNBA選手になり、
八村塁はアメリカの名門大学では中心選手として活躍、
今NBAのドラフト有望選手です。
加えて、10代の選手は当たり前ように
NCAAやアメリカでのプレーすることを視野に入れており
今やNBAでのプレーも夢ではありません。
日本バスケは数年前とは劇的に変わっています。
そう考えると日本も少しずつではありますが
世界基準へ歩み始めたのではないでしょうか。