フォアフット走法からみる身体の使い方 | 石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

石川貴之/ゼロ・グラヴィティ理論 --- 爆発的にパフォーマンスを発揮する"7つ"の新法則

▼待望の著書 #ゼロ・グラヴィティ理論 が4月刊行▼過度なウエイトトレ不要の世界を目指し"7つ"の新法則を提供中。ストレッチ,トレーニング,スポーツ動作の指導が得意▼2019年北海道〜沖縄の全国で受講者数229人/3月現在▼株式会社カラダラボ代表取締役

以前、大迫傑選手から学ぶフォアフット走法を解説しました。

まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください。

更に理解が深まることでしょう。

下のリンクから閲覧できます↓↓↓

https://ameblo.jp/hatudai-global/entry-12425260308.html

 

 

フォアフット走法の身体の動き


大迫選手はどのように身体を使っていたのか、おさらいをしてみます。

 

①右に背骨が回転する
②右の肩甲骨が後ろに回転する
③体幹が捻じれる
④左手が前に出る
⑤体幹が捻じり返る
⑥前に出た左手の対角にある右足が前にでる
⑦つま先で着地し、小指球で回転しながら地面を蹴る
①~⑦を繰り返し行っている。

 

大迫選手の場合は、背骨と股関節を連動させて体幹を捻じり、
小指球側で地面を蹴っているため、
足が振り子のように押し出される。
そのため①~⑦がスムーズに行われている。

つま先で着地し、小指球で身体を回転させるためには、足から動き出すのではなく、
背骨から動き出していく必要があるということだ。
多くのランナーをみていると足を前に出すことばかり考えている人が多い。
足を出すためにはどのように上半身、特に背中を使えばいいかを考えることが大切である。
①~⑦の動きをスムーズに連動させるためには、
 

・背骨と股関節の連動性

・小指球で身体を回転させる

 

この二点がとても重要である。
今回はこれを解説する。

 

 

フォアフット走法での脊柱の役割


脊柱は運動をするうえで重要な役割をしている。
足を振り子のように使うためには、脊柱の柔らかさが重要である。


脊柱の構造

・頸椎7個

・胸椎12個

・腰椎5個

 

これら24個の脊椎が積み木のように積み重なって形成させれている。
この積み木を捻じることで、運動は成り立つのである。

 

マラソンの動作で言うと、
①背骨を右に回転させる
 →体幹を捻じるための初動動作

②右の肩甲骨が回転する
 →身体は右に大きく捻じれる

③左手が前にでる

④対角線上の右股関節が前へ振り出される
 →股関節の伸展

⑤小指球で回転しながら地面を蹴る

 

これをみると、どの動きも脊柱が捻じれることで、四肢が連動していることが分かる。

肩甲骨が回ることも、足を振り子のように使うことも、
脊柱が捻じれ、捻じり返るという動作の繰り返しによって、四肢がついてくるのである。

特に足は前にだすという感覚よりも、足が振り出されるイメージになるであろう。

 

よく見ると大迫選手や南アフリカのランナーは頭の位置が高い。
頭の位置が高い分、身体は不安定な状態になるため、全身に伝わるエネルギーは大きくなる。
そのエネルギーが上(肩甲骨)から下(股間節)へ伝わることで、
最終的には足が振り出されているのだ。

背骨はそのエネルギーを生み出す役割をしてくれている。

大迫選手や南アフリカの選手が脊柱の捻じれを上手に使えていることが、
フォアフット走法をできている一つの要因だといえる。

また、背骨を大きく捻じるためには股関節の連動は必須条件である。

 

 

フォアフット走法での股関節の役割

 

背骨を捻じるためには股関節が重要な役割をしている。
股関節は人間の身体で一番捻じれる関節である。

例えば、身体を右側に125度回転させるとしたら


・胸椎:30度
・腰椎:5度
・股関節:90度

 

多くの割合を股関節が占めている。

そのため、大迫選手や南アフリカのランナーを観察していると、
股関節はまっすぐ前に出ているというより、
背骨と連動して、股関節が回転しながら足が振り出されているのである。

股関節は身体を捻じるためにとても重要であり、
足を振り子のように使うには、背骨と股関節の連動性が必要になる。

ただしこれは股関節の柔軟性がなければ体現することは難しい。
多くのランナーはこのような股関節の動きを身体が知らず、
かつ、股関節の柔軟性が低いランナーが多いのではないかと考えられる。
そのため、背骨と股関節の連動性を出したくても、体現することができないのである。

股関節の柔軟性がない状態でこれをやろうとすると、
身体にかかる負担は大きく、背骨との連動性も出てこない。

この連動感を出すためには、股関節の柔軟性と背骨作りが必要であると考える。

連動性が生まれることで、小指球で身体を回転させることができるようになるのだ。

 

 

フォアフット走法は小指球での回転が必要

 

皆さんは足のどの部分で身体を回転させていますか?
どこに重心を置き、回転を行っているかは、靴の裏をみたら一目瞭然です。
すり減っているであろう箇所を大きく4つに分けます。

 

①母指球
②かかと内側
③かかと外側
④小指球

 

どこが一番すり減っていましたか?

理想的なのは④小指球である。

ここがすり減っていたら小指球で回転動作が行われていることがいえる。

ただし、走るスピードによっては着地箇所が変わってくる。

スピードが速い大迫選手や南アフリカの選手は、小指球で回転をしていくため、
かかとはほぼ接地していない。

ゆっくり走るジョギングになると、
③かかとの外側から着地をして、小指球で回転をし、地面を押す。

歩行動作も同じことが言える。

そのため、③、④あたりがすり減っていることが理想的である。

 

母指球で回転動作を行おうとすると、
下腿三頭筋・ヒラメ筋・大腿四頭筋・大殿筋・腹筋がより使われる。
姿勢が低くなり、股関節と膝が曲がった状態になる。
その状態で背骨を捻じろうとすると、背骨は丸まった状態のため、背骨と股間節の連動感は皆無だ。
内側側副靭帯を損傷したり、シンスプリントを誘発させる原因になりかねない。


連動感がない=エネルギーが伝わらない

 

そのため、疲労は増していく。

無駄が多い走りになってしまうのである。

 

小指球で回転をしたらどうだろうか。

小指球で回転動作を行うと、
前脛骨筋・ハムストリング・腸骨筋・脊柱起立筋を使い、回転動作が行われる。


姿勢が高い状態が作られる

背骨と股関節の連動感が出て回転動作がスムーズ

足は勝手に前へ振り出される


身体にかかる負担も少なければ、連動して身体が動くため、エネルギーが効率よく伝わる。
疲労の蓄積も最小限に防げる。
何よりも無駄が少ない走りを行うことができる。
運動は一貫して繰り返し行っていけるかが重要である。

母指球に重心が乗ると無駄な動作が増え、身体にかかる負担が大きくなるため、

一貫して動作を繰り返すことができない。

無駄がなく、身体への負担が少なくなる、小指球を使った回転動作が大切であるということが分かる。

 

大迫選手や南アフリカの選手は今までの環境や、
並々ならなぬ努力の結果、フォアフット走法を習得したであろう。

 

「背骨と股関節を連動させて身体を回転する」

「小指球で回転する」

 

これらを実現するためのトレーニングを行うことで、フォアフット走法を習得できるのだ。
そのためには準備が必要である。


・股関節の柔軟性

・高い姿勢を作るための背骨作り

・正しい重心移動
 

まずはこの3点を神経系トレーニングにより、獲得する必要がある。

これらが獲得できたとき、背骨と股関節の連動や小指球での回転が可能となる。

 

マラソンだけではなく、どのスポーツにおいても、

身体をどのように使ったら負担が最小限になるのかを考えてみてください。
それに対してどのようなトレーニングが必要なのかを考え、
競技とトレーニングをマッチングさせられたとき、初めてそのトレーニングは意味を持つのだ。