【はっとの勝手に名画鑑賞会】

409回「トラ・トラ・トラ!」(1970


1970年公開、真珠湾攻撃を扱った

日米合作のハリウッド映画、

「トラ・トラ・トラ!」を観ました。



この作品、監督にクレジットされてる

方がたくさんいて、まず

「ミクロ決死圏」のリチャード・フライシャー、「人生劇場」、「錆びたナイフ」の

舛田利雄、「仁義なき戦いシリーズ」、

「蒲田行進曲」の深作欣二の3人です。

そして、そんな作品の総監督を

務めるはずだったのが

黒澤明なんですね。


しかし黒澤は降板してしまいます。

降板については、いろんな説が

ありますが、表向きは病気って

ことになっています。


ただ、それは恐らく事実ではなく、

結局、黒澤に対するハリウッドの

リスペクトが足りなかったからだと

個人的には思いますね。


黒澤が降板したことで、

日本側のスタッフや俳優も

総入れ替えとなってしまったそうです。


だからと言って、この作品が

駄作になってしまったかと

言えば、そんなことはなく

真珠湾攻撃に至る経緯も

丁寧に描かれ、後半の巨費を投じた

攻撃シーンのスケールは

とんでもないことなっていて

かなり見応えのある作品に

仕上がっています。


山村聰、東野英治郎、三橋達也、

田村高廣、井川比佐志など

日本の俳優陣の迫真の演技もとても

良いです。


ストーリーも

きちんと事実を踏襲しながらも

日米共に不快にならない配慮もしっかり

されていて、この時代によく

これほどの完成度の高い脚本が

書けたなぁと思ったら、

脚本は菊島隆三、小國英雄など

黒澤組が制作したものを

黒澤降板後もそのまま使用したそうです。

脚本には、もちろん黒澤も

関わっていますが、ノンクレジットと

なっています。


だからこそ

余計に黒澤作品としての

この映画が観たかったなぁと

黒澤ファンとしては強く思いますね。


前半部の日米、それぞれの

人間ドラマなんて

黒澤演出で、もっと面白くなった

と思うんですよね。

それで、あの攻撃シーンが

加われば、「七人の侍」

どころじゃない前代未聞の

世界的傑作に

なっていたんじゃないかと思います。


黒澤のその後の作品を観ると

どうしても、この時の

挫折が尾を引いている感じも

するので、この時

この作品で成功していれば

別の未来も開けていたような

気もしますね。

いろんな意味で惜しいと思いました。


でも、それも運命、

仕方がないですねσ^_^;


【人生はまるでロード・ムービー、

次回も一緒に過去に置き忘れた

宝物を探しに行く旅に出ませんか?】


それでは、また(^_−)−☆