【はっとの勝手に名画鑑賞会】
第402回「どですかでん」(1970)
今回も黒澤明監督作品、1970年公開の
「どですかでん」を観ました。
ハリウッド進出に挫折した
直後に製作され、さらに
興行的にも振るわず、
黒澤は多額の借金を抱えることに
なり、恐らく自殺未遂のきっかけにも
なってしまった曰く付きの作品。
ただ駄作か?と言うと
全然そんなことはなく
低予算ながら、かなり
優れた内容の作品だと思います。
日本映画低迷期を打開するため
黒澤と市川崑、木下惠介、小林正樹の
ベテラン監督4人によって
結成された「四騎の会」の
設立第一作であり、黒澤初の
カラー作品なんですね。
元々は、この4人の監督で
オムニバス形式で製作する
予定だったみたいですが、
山本周五郎の原作「季節のない
街」が内容的に暗いという
理由で、他の監督が降りて、
黒澤一人で監督することに
なったそうです。
面白いのは、そのオムニバス形式の
雰囲気はそのまま作品に生かされている
ところなんですね。
脚本に小國英雄と
橋本忍を呼び寄せている
ところから見ても、かなり
気合いが入った作品では
あると思います。
ゴミ捨て場にある架空の街を
舞台に最下層の人々に
焦点を当てつつ、実はそれは
人間社会の縮図として
描いていて、つまりは
黒澤自身や私たちに向けての
問いかけにもなっているんですね。
いろんな考察が存在する
作品ですが、
やはり「カラー」つまりは
「色」というものが
この映画の要になっているのは
間違いないでしょう。
この世の中で一番多種多様な
色が集まる場所は
間違いなくゴミ捨て場だろうし、
そこを舞台にしながら
、さらに多種多様な人間模様を
描いていく。
そしてその狂言回し的な
役割りを担う頭師佳孝演じる
電車好きの六ちゃんは
無垢、つまり色のない透明な存在で、
見えない電車に乗りながら、
物語と物語を繋いでいく
という、かなり計算された
設定のような気がします。
六ちゃんの絵だらけの
彼の家は、まるで
ステンドグラスが飾られた
教会のような感じもするので、
ある意味、六ちゃんは
神的な位置付けなのかもしれませんね。
菅井きん、三波伸介、伴淳三郎、
松村達雄、芥川比呂志、
奈良岡朋子、田中邦衛、井川比佐志、
ジェリー藤尾、丹下キヨ子、
藤原鎌足、三谷昇など
クセが強すぎるキャスティングを
見るだけで、この映画がどれだけ
ヘンテコで面白いのかも伝わって来ますよね(笑)
黒澤作品にしては、あまりに異色な
佇まいであり、世間的には
評価はそれほど高くないようですが、
黒澤作品にも関わらず、
かなりアバンギャルドで、アングラな
匂いがするこの作品は
僕は大好物ですね。
もっと言えば大御所にも
関わらず、よくこの世界に
一歩踏み出したなぁと
拍手を送りたいくらいです。
恐らく、今後まだまだ
この作品の評価は高まって
いく、そんな気すらしますよ。
ちなみにタイトルの
「どですかでん」の意味は
観てのお楽しみです(^。^)
【人生はまるでロード・ムービー、
次回も一緒に過去に置き忘れた
宝物を探しに行く旅に出ませんか?】
それでは、また(^_−)−☆
