【はっとの勝手に名画鑑賞会】

第266回「麦秋」(1951)

「晩春」に引き続き、
小津安二郎監督による紀子三部作の
二作目、1951年公開の「麦秋」を
観ました。



これも「晩春」同様、舞台は鎌倉
なんですね。今回は大仏も出て来ます。

面白いのは「晩春」ではなかった
江ノ島の展望灯台が「麦秋」では
出現するんですね。
この映画の制作と同じ1951年に
設置されたそうです。
日本初の民間灯台だったんですよ。
現在はシーキャンドルという
別の灯台になっています。

「小津調」は今回も全開で、
子どもも含め、「晩春」よりも多彩な
人々が、やたらに家の中を
ウロチョロします(笑)

脚本も「晩春」同様、小津安二郎の
後期の傑作をすべて担当した
野田高梧と小津が共同で
書き上げています。
その後のテレビのホームドラマに
繋がる基本的なプロットは、ほとんど
この2人が生み出したといっても
過言ではないのかもしれませんね。

今回も主役は原節子です。
「晩春」からわずか2年ですが、
角が取れたというか、かっちり
違和感なく小津作品の雰囲気の
中に溶け込んだ印象がありました。

凄いのは笠智衆で、「晩春」では
原節子の父親役だったのに、
こちらでは兄役で、かなり若返った
役柄を演じています。
その兄の父親役の菅井一郎よりも
実際は年上にも関わらず
ちゃんと若いんですよね(笑)
老け役の印象が強い方なんで、
正直、最初誰か分かりませんでした(>_<)

他にも杉村春子、淡島千景、三宅郁子、
東山千栄子、佐野周二など
小津映画常連組を中心に
温もり満載の素敵な演技を
披露してくれています。

考えてみれば他愛もないような
日常の出来事を、これだけ
面白く趣深く観せてしまう
小津作品は、やはり凄いなと
思いました。

こうなったら、随分前に観た
紀子三部作の最終作
「東京物語」ももう一度観ちゃうかな?

きっと新しい発見があるはずだしね(^.^)

【人生はまるでロード・ムービー、

次回も一緒に過去に置き忘れた

宝物を探しに行く旅に出ませんか?】


それでは、また(^_−)−☆