新町歌劇団 ミュージカル《ナディーヌ》公演 | 孤独な音楽家の夢想

新町歌劇団 ミュージカル《ナディーヌ》公演

■ミュージカル《ナディーヌ》(原作・脚本・作曲:三澤洋史)

【日時】2024年6月22日(土)開演18:30

           6月23日(日)開演13:30

【会場】高崎市新町文化ホール

【チケット】全席自由 大人3,000円、小人(中学生まで)2,000円

【問い合わせ】新町歌劇団事務局:0274-42-8949 090-9954-1854

 

【出演】

ナディーヌ:込山由貴子

ピエール:山本萌

ドクタータンタン:初谷敬史

オリー:大森いちえい

ニングルマーチ:秋元健

合唱:新町歌劇団

グノーム:群馬県のこどもたち

 

指揮・演出:三澤洋史

ピアノ:小林直子

エレクトーン:長谷川幹人

 

 

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 いよいよ今週末、新町歌劇団によるミュージカル《ナディーヌ》公演となる。満を持して・・・とは、このことだ。

 以前より、《ナディーヌ》を再演したい、という声が、歌劇団に上がっていたのを知っている。しかしそれは、なかなか現実のものとはならなかった。「再演」決定のきっかけは、2021年12月に、僕が副指揮者として、歌劇団の指導をさせていただくことになったことにあるように思う。・・・僕の「ドクタータンタン」を、もう一度見たい、という歌劇団の願いだ。

 新町での「初演」が、2004年8月21日・22日だったので、ちょうど20年が経過したことになる。・・・当時、僕は28歳の誕生日を迎える時だった。今、僕は47歳。あれから「ドクタータンタン」も、歌劇団のメンバーも、みんな等しく歳を重ねた・・・。

 「再演」公演を決定したものの、いろいろなことがあり、当初の計画から、幾度も日程が先延ばしされた。・・・しかしそれが、歌劇団にとって、いろいろな意味において、とても重要な準備期間となったことは間違いない。公演資金を集めるために、歌劇団で初めて「クラウドファンディング」を実施した。また、ミュージカル自体を、今回のために大分シェイプアップさせた。今の歌劇団で「実現できうる形」を模索した結果である。

 

 ・・・しかし、残念ながら、今回の公演を最後に、歌劇団は合唱団として継続していくものの、歌劇団によるミュージカル公演は、これで終了することとなる。・・・歌劇団の指導を任されている僕としては、とても残念だ。これまで、さまざまな舞台で演じたり、また自分でも舞台を作ったりと、いろいろな経験を積んで、ようやく歌劇団の指導をさせていただくようになったタイミングである。自分で言うのも何だが、ちょうど脂が乗ってきたところであり、これから歌劇団の役に立てる、と思っていた矢先のことだ。・・・けれども、そういうことも「時の流れ」であるのだから、あまり寂しがらないようにしようと思う。今の、そして、これからの僕にしかできないことを、その都度、歌劇団と共にやっていけばいいのだ。そこには、きっと新たな楽しい展開が待っていることだろう・・・。

 

 ところで今回、主役の「ナディーヌ役」と「ピエール役」に、若手が抜擢された。ソプラノの込山由貴子さんと、バリトンの山本萌くんだ。見るからにとても若く、一挙手一投足、すべてが爽やかである。稽古など見ていると、本当に微笑ましい・・・。まるで20年前の自分を見ているようである。笑 ・・・あの頃、たしかに僕は、ぴょんぴょん飛び跳ねていた。それが、今では・・・。(今、あんなに飛び跳ねたら、骨折してしまうだろう。笑)・・・「時の流れ」とは、そういうものだ。しかし、それを僕は今、残酷なものとは感じていない。いや、むしろ・・・。

 不思議なことに、今年の僕は、20年前と同じところを歩んでいるように思われる・・・。先日の足利市民合唱団での《花に寄せて》、そして、今回の新町歌劇団での《ナディーヌ》。これは果たして偶然だろうか・・・。・・・まるで「永劫回帰」なのである。けれども、今、たとえあの頃と同じところを歩いているとしても、まったく景色が違って見えるのが驚きだ。それは、とても肯定的な意味においてである。まさに、「超人」にふさわしい気分なのである。

 ・・・僕は想像してみる——更に20年後、67歳になった僕が、もし足利市民合唱団で《花に寄せて》を、そして、新町歌劇団で《ナディーヌ》を経験するとしたら・・・。こんな楽しい夢は、他にないだろう・・・。そうしたら、僕自身、本当の意味で、IQ500の超マジウルトラ大天才の「ドクタータンタン」に、もっと、もっと、近いているかもしれないな・・・。笑

 

by.初谷敬史