セイコー合唱団 | 孤独な音楽家の夢想

セイコー合唱団

■Seiko presents「Starry Night Concert vol.29」

【日時】2024年5月23日(木)開演18:30

【会場】浜離宮朝日ホール

 

 

【出演】

  松崎しげる(スペシャルゲスト)

  LE VELVETS

  服部真二(セイコーグループ株式会社 グループCEO)

  宮川彬良  

  セイコー合唱団(指揮:初谷敬史、ピアノ:岩井美貴)

  司会:吉川美代子

 

◆料金 5,000円(全席指定)

◆チケット申し込み

  チケットぴあ http://pia.jp/

  ローソンチケット(Lコード:72543) http://l-tike.com/

◆公演に関するお問い合わせ

  株式会社バルケニック TEL:03-3470-1155  art@volcanic.jp

 

 

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 縁あって、今年1月から、新しくなった「セイコー合唱団」の指導をさせていただき、この度、新合唱団のお披露目となるコンサートを迎える。

 これまで、セイコーグループには、2013年にセイコーの社員で結成された「Always四丁目合唱団」があった。ジャズ界のレジェンド、前田憲男さんが指導され、セイコーグループが主催するコンサート「わで奏でる東日本応援コンサート」や「スターリー・ナイト・コンサート」などに出演してきたそうだ。しかし、2018年に前田さんが亡くなられてしまう。主軸を失ってしまった合唱団であったが、合唱団には、前田さんが合唱団用に特別にアレンジし、演奏してきた合唱作品が、たくさん残されていた。本当に貴重なものばかりである。合唱団はその後、前田さんの遺志を引き継ぎ、それらをレーパートリーとして活動を続けてきたという。

 しかしながら、昨年、解散を決定。そして、新たな合唱団を結成すべく、セイコーグループ内でメンバーを募集し、今年1月から新合唱団として活動を開始した。そして合唱団の新たな指導者として、僕を迎えてくれたのである。

 

 実は、僕は以前から「Always四丁目合唱団」の活躍を聞いていた。というのも、その団長をされていた宮寺昇さんが、「白山音楽倶楽部」のメンバーなのである。かれこれ十年来のおつきあいであろう。その宮寺さんが、今回、新合唱団の立ち上げに際して、僕を指導者として推薦してくれたのである。彼は本格的に「東響コーラス」などでも合唱されている方で、「セイコー合唱団」のレベルアップと更なる発展を望んでおられるのだ。・・・頑張らなければならない。

 また、これまでも、セイコーとの関わりがなかったわけではない。2015年に開催した「六本木男声合唱団」のオリジナルミュージカル《ウェスト・サイズ・ストーリー》に、服部CEOに特別出演していただいたことがあった。そんなご縁から、2017年、セイコーグループ主催「わで奏でる東日本応援コンサート2017」に、「六本木男声合唱団」が出演し、セイコーが誇る「セイコーダンサーズ」とコラボさせていただいたりもした。それから、以前、「Always四丁目合唱団」の稽古で、三枝先生が特別指導をしたということも、何か縁を感じてしまうひとつである。

 ・・・何かに導かれるようにして、今回のことが実現したような感じがしている。

 

 新合唱団には、宮寺団長をはじめ、これまでの合唱団のメンバーが多く参加していることは大変嬉しいことである。更に、新たな若いメンバーも加わって、大変に活気がある。毎回の稽古が楽しい。そして、このコンサートを準備するのに、会社が一丸となっているのを感じる。驚くべきは、その雰囲気だ。事務局をはじめとして、とても明るく、積極的である。セイコーの「ものづくり」の精神が、こういうところにも反映されているのだ。セイコーは、初代、服部金太郎氏より、このように時計をつくり、このように成長してきたのであろう・・・。3月末に、タイミングよく、テレビ朝日ドラマプレミアム『黄金の刻〜服部金太郎物語〜』が放映された。それには、創業時の人々の苦労や喜びが、丹念に描かれていた。・・・今、合唱団という楽しさや感動を共にする、大きなエネルギーを持った社内の新たなチームの只中にいると、創業時のそうしたことを、その中に見ることができるような気がする。

 ・・・初代、服部氏が明治27年に、銀座4丁目角に時計塔つきの「精工舎」のビルを建てたその場所(現 SEIKO HOUSE)で、今、僕たちは練習をしている。天井の上から、やさしく鳴り響く時計塔の鐘の音が、僕たちの練習の目安となっている。・・・寸分の狂いなく、一定に刻む無限の時。それが直線的なのか、円環的なのか分からない。ともかく、宇宙が広がり続けるように、休むことなく現在の時を刻み続けている・・・。・・・それに反して、僕の音楽づくりは、「テンポ・ルバート」である。そこには、異次元からやってくる無限の揺らぎが流れている。絶えることのない無限の揺らぎである。それらが互いにどのように反応し、また、どのように一致し、どのような時の感覚が「今=ここ」に現れるのか、誰にも分からない・・・。

 

 セイコーと音楽とが結び合う時・・・。・・・何というロマンだろうか。星の瞬く夜に、縁が繋いだ僕たちの新たなハーモニーが、無限へと響いていくのである・・・。

 

 

by.初谷敬史