日経コンピュータ2016.12.22 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

特集は<コンテナで即席化 次世代基盤の決定打>です。まさか、いまごろDocker万歳だけの特集じゃないだろうと思って読んでいたのですが、そのまさかでした。ちょっとググるだけでDockerの課題が色々出ています。例えばネットワークやセキュリティの弱点やrktがなぜ出てきたのかなど技術者としての視点が欲しかったと思います。

 

【売上高1兆円規模でも変革止めぬAWS AIやデータ分析など30近いサービス投入】(P.06)
「AWS re:Invent2016」のイベントで30近い新サービスが発表されました。私もre:Inventの翌日には私がやっているメーリングリストで特に面白いと思ったサービスを紹介しました。

 

1兆円規模「でも」というのが日本人の感覚でしょう。1兆円規模「だから」これだけの変革が出来るのです。セールスフォースもマイクロソフトもパブリッククラウドは変革が命です。それを止めようと考えた瞬間に淘汰されるでしょう。今後もすべてのサービスに投資し続けられるのかは別です。人気のないサービスは早く見切りをつけるのだと思われます。日本企業はそれが出来ないため、新しいサービスを出すことに尻込みするのでしょう。

 

【DeNA「WELQ騒動」の裏に潜むリスク 一般企業も対岸の火事ではない】(P.08)
DeNAが運営していたキュレーションサイト(まとめサイト)に誤情報や無断引用が多いという事で炎上し、10サイト全部を閉鎖しました。「肩こりは心霊トラブル」なんていうトンデモ記事が医療情報サイトに堂々と載っていたのです。その内容についてDeNAは責任を取ろうとしませんでした。
最初に炎上したWELQは90%を外部のクラウドソーシングで制作していたそうです。つまり作成者はクリック数で評価されますから嘘でもパクリでも何でもやっていたのでしょう。
第三者委員会の調査報告を待ちたいと思います。

 

【日本IBMが「LoRaWAN」サービス開始 インフラ企業のIoT無線活用を推進】(P.09)
日本IBMは来年、2017年3月までにLPWA(Low Power Wide Aria)通信方式の一種である「LoRaWAN(ローラワン)」関連サービスを開始します。LPWAはIoT向けの通信サービスです。ひとつ500円程度の通信モジュールが乾電池で10年以上稼働することが特徴です。

京セラコミュニケーションはSIGFOX、ソフトバンクはNB-IoTを担いで同じく2017年にサービス開始予定です。

 

【焦点を読む:IT活用のサービス開発が減税対象に 日本でも世界標準のイノベーションを】(P.14)
平成29年度税制改正大綱に、研究開発税制の対象として「IoT、ビッグデータ、人工知能などを活用したサービス開発のための試験研究」が追加されたそうです。サービス開発に要した費用の1割前後を税額から差し引けます。
サーバなどの「物」の値段でなくビジネス自体の開発が減税対象になることは喜ばしいと思いますが、これでイノベーションが進むというのは楽観的すぎると思います。もっと規制緩和が必要ですし、個人情報保護に関してもグローバルへ追従して明確化が必要です。

 

【コンテナで即席化 次世代基盤の決定打】(P.18)

 

マシン構成の主流が仮想マシン(VM)からコンテナ(Docker)に移ったというだけの特集です。仮想マシンは物理的なマシンの上に複数の仮想マシンを作りその上にそれぞれLinuxなどのOSを乗せます。コンテナは一つのOS(Linux)の上に仮想OSを乗せます。ハードウエアをエミュレートする必要がありませんので起動が早く扱いやすい反面本番で使おうとすると様々な制約が大きいです。わかっている人は制約を避けた使い方をします。
事例がLINEゲームだとかクラスメソッド社だとかIDOM社だとかポケモンGOですから「普通の会社では使えません」と言っているように感じました。

 

【オフコンユーザの憂鬱 移行のハードルは高い】(P.34)
2015年3月にNECがオフコンから撤退し出荷停止しました。しかも移行のパスを示すことはありませんでした。保守部品が出荷停止する2020年までに2000~3000台の利用ユーザはどうするのか決める必要があります。
実は筆者個人にもある方から相談があり、オープンソースのフレームワーク(rmenu)へのコンバージョンを推奨したことがありますが、リスクも大きいため踏み切れないようでした。
富士通は7000台(推定)が稼働しており事業は黒字。IBMはグローバルで15万社が使い今も微増中だそうです。IBMは別格ですが富士通のオフコンと較べてNECのオフコンは決して見劣りするものではありませんでした。どこか歯車が狂ったのでしょう。
ユーザを見放したという実績がどう将来に影響するのか気になります。

 

【インタビュー:ミスミグループ本社 代表取締役社長 大野龍降氏】(P.40)
金型部品を中心に製造と販売を行うミスミグループ。1600万点、2600メーカーの品ぞろえを誇るECサイトを運営しています。モノタロウが1000万点ですのでそれ以上です。両社とも内製手作りです。こういう事例が広まることで日本が再生すると期待しています。

 

金型は実際には1マイクロメートル単位で種類が変わります。そこまで含むと商品数は800垓(がい)(垓は10の20乗)あるそうです。コンピュータ屋の単位でいうと80Z(ゼッタ)個です。キロ→メガ→ギガ→テラ→ペタ→エクサ→ゼッタですから数えきれないほど多いってことでしょう。

 

そこで、顧客は金型部品を設計した3DのCADデータをアップするだけで30秒ほどで価格と見積もりを提示する見積もり「meviy」システムをサービス開始されています。モノタロウさんは流通特化していますが、ミスミさんはさらに上流のメーカーを意識されています。120億円の設備投資のうち、IT投資が85億円。アップカンパニー(アプリケーションカンパニー)と言ってよいでしょう。こういう会社が圧倒的な勝者になれば日本自体が復活すると思います。

 

【10人のIT部門が消滅 ひとり情シスで培う内製力 第1回】(P.82)
従業員400人の中小製造業の会社。250台のサーバをお守するのに10名のIT部門がいました。長引く景気低迷で人員削減されついに0人に。筆者は別部門に所属しながら細々とひとり情シスとして孤軍奮闘・・・

 

アンテナの高い方なら既に読まれていると思いますが、今年10月からネット上で連載されていたコラムのコピーです。一字一句同じです。
昨年12月に「旭硝子が明かす、AWS基幹系導入の壁」で書いた印象と同じです。<ネットで無料で読んでいたものを有料の雑誌で読まされるとは思ってもみませんでした>

ネタバレですが、最後には病気で3ヶ月緊急入院されたけど、何とかなったという結論でした。会社組織ってそういうものです。「自分がいないと・・・」というのは大いなる勘違いですね。

 

【社長の疑問に答える IT専門家の対話術 第74回】(P.90)
<「顧客中心主義」を信じる><顧客の痛みを感じとる>
CRM協議会会長の藤枝 純教氏の講演の言葉です。顧客の痛みへの対策を考えていくと企業活動の全体にまたがって改革しなければならなくなる。製品やサービス、組織や要員のスキル、業務プロセス。情報システムに至るエンタープライズ全体の再設計になるため「エンタープライズアーキテクチャ(EA)を記述することが望ましい」そうです。前回までEAの父と言われるザックマン氏の話でした。でもここでいうEAは今のザックマンフレームワークとは異なるものでしょう。

 

ザックマン氏の回や今回のコラムを読んで考えたのは、第68回の南波幸雄氏の方法論をもう少し勉強したいという事でした。

 

以上