sengoku38の記者会見 | HATのブログ

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IT関係のニュースを中心に記事を掲載します。日経コンピュータで重要だと感じた記事とコメントを2010年9月1日号から書いています。
このブログは個人的なものです。ここで述べていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

中国漁船衝突事件ビデオをYouTubeに公開した元海上保安官の記者会見を「自由報道協会(仮)」が行います(日程は未定)。この会見をマスコミがどう扱うのか楽しみにしています。日本のジャーナリズムが健全化するかの試金石になります。「自由報道協会(仮)」に関して何が起こっているかを書きます。新聞では小さな扱いですし、TVではほとんど流れていません。

今週の週刊朝日(2/25号)に、sengoku38こと一色元海上保安官とフリージャーナリストの上杉隆氏の独占インタビューが掲載されています。昨日夕方に買いに行ったのですが、2件のコンビニで売り切れでした。上杉隆氏と言えば、10年間も記者クラブの問題点を指摘し続けてマスコミから煙たがられていることで有名です。一色氏もマスコミへの不信感を話されています。
上杉氏「一色さんにとっては動機こそが全てであり、取り調べの際も率直に語っていたんですよね。」
一色氏「初日から捜査が終わる日まで、一貫して同じことを言っていました。」
上杉氏「それが報じられない。当局が恣意的に情報をリークして、世論を操作するスピンコントロール(情報操作)です。仮に一色さんが、国家をまじめに考えている人ということになってしまったら、つじつまが合わずまずいんですよ。」

記者クラブは、官僚や検察がリークした事だけを書くことで成立しています。違う事を書いたり、リーク内容を書かなかったりすると記者クラブから追放されます。結果的にスピンコントロールの手先になっているという主張です。

今年1月26日に、とうとう上杉氏が暫定代表となって「自由報道協会(仮)」が設立されました。
fpaj.exblog.jp
そして2月10日に小沢元代表へのインタビューを主催しました。出来る限り主催者の名称を書いてほしいと依頼した事で「大」マスコミでもこの名称が流れました。ところが書いていない報道も多くありました。
http://fpaj.exblog.jp/14193441/
<日経新聞「元代表は会談後のインターネット番組で・・・」
 朝日新聞「小沢氏はきのうの記者会見で」>

会見は、にこにこ生放送で生中継されていましたので日経新聞の記者はそれで観たのでしょう。朝日新聞は明らかに協定違反をしています。他にも違反している新聞がほとんどです。産経新聞は悪意ある誤報をしています

昨日、小沢元代表が党員資格停止されました。それに対する各新聞の論調に憤って脳生理学者の茂木健一郎氏が今朝twitterに連続ツイートされていました。
@kenichiromogi 茂木健一郎
(1)上杉隆さん( @uesugitakashi )に最初にお目にかかったのは、波頭亮さん( @ryohatoh)主催の研究会だった。記者クラブ問題をとりあげている方とは聞いていたが、日本のメディアの実態を聞いて、あきれるとともに怒りが込み上げた。
(2)小渕首相の時、上杉さんは外国メディアの記者として、インタビューを申し込んだ。小渕さんはいいよ、と言った。ところが、当日になって、「内閣記者会」が、「そのインタビューは認められない」と言ってきたのだという。
(3)ぼくは意味がわからず、「何でですか?」と上杉さんに聞いた。「本人がいいと言っているんでしょう?」「それがダメなんですよ。そもそも官邸に入れないんですから」「はあ? 記者クラブというのは、官邸の鍵も管理しているんですか!」
(4)上杉隆さんから聞く日本の記者クラブの実態は、カフカの不条理世界だった。「だから、外国通信社の仲間たちはみな、日本にはジャーナリズムがない、と言っていたんですよねえ。」上杉さんは、空は青い、というのと同じ自明の理であるがごとく、ぼそっと言った。
(5)ジャーナリズムとは何か。まずは、権力の横暴に抗することだろう。だから、英米の新聞は、ウィキリークスと共同して、国家の暗部を描いた。ところが、日本の新聞は、権力と一体となっての「空気製造器」となっている。上杉さんの言う「記者クラブ」の問題に、それが象徴される。
(6)空気製造機と化した日本の新聞は、なぜ、小沢一郎さんに対する一連の攻撃に反発する人たちがいるのか理解できない。だから、「親小沢」だとか「脱小沢」とかレッテルを貼って喜んでいる。自分たちが品性下劣だからと、他人も同じような動機で行動していると思っている。
(7)冗談じゃない。私や、波頭亮さん、上杉隆さんが小沢一郎さん問題について発言するのは、「親小沢」だからじゃなくて、プリンシプルの問題だからである。民主主義とは何か。個人の権利はどう守られるべきか。「親小沢」というレッテル自体が、記者クラブ的発想である。
(8)ツイッターでコメントを寄せてくださる方の中にも、「なぜ小沢さんを支持するのですか」という方がいる。プリンシプルの問題だということが見えていない。記者クラブ的な発想が日本人の各層に浸透しているということだろう。
(9)上杉隆さんが自由報道協会を立ち上げた時、本当にうれしく思った。日本の未来が、少しは明るくなったと思った。ひしっである。別にぼくと上杉さんが二丁目的な意味であやしいのではなく、プリンシプルの問題だから為念。


今まで一年以上も「大」メディアは検察のリーク情報を元に小沢氏を「悪い悪い」と書いてきました。官僚と同じく新聞にも無謬性の原則があります。郵便不正で無罪となった村木元局長の時も、各社情報は持っていたにもかかわらず毎日新聞がスクープの決断をするまでダンマリでした。

今まで、マスコミというフィルタを通して事件や政治を見ていました。インターネットのおかげで、それらに強いバイアスがかかっている事が次々に明らかになっています。twitterやにこにこ生放送やUstreamによって日本の情報の流れが確かに変わっています。

佐々木俊尚氏の「キュレーションの時代」を読むと、パラダイムシフトが起こっている事に納得出来ます。一次情報をどういう文脈で読み解くかという「視座」を与える事を「インキュレーション」と命名して、豊富な具体例で情報革命の方向性を示した良書です。そのうちブログでも論評しようと思っていますが、お勧めします。