禁じられた遊戯……魔界ヘの誘い~永遠の物語~
闇に浮かびし 紅き川
刻に剥がれし 浅き川
痛み重ねし 重きドア
常に追われし 悪しき性
既に消え行き 君が永久
届き消されし 君が傍
やがて迎えし 闇の永久
君を奪いし 神がひざ
我を迎えし 魔が業火
せめて願いし 君と空
絶えず継がれし
満ちた悲話
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幼少期編 第30話 真相

私と萌が朝帰りをした日


早朝に、家政婦が萌の家にきて


『悪影響ですので、仲良くしないで頂けますか。』

と言いに来たらしい




私たちはまだ帰ってきていなかったので



萌の母親が適当に追い返したらしい




その日の夕方




今度は父が来て




『金輪際、逢わないでほしい。』



と、手切金200万を渡した



萌の母親が

金に目がくらみ

了承してしまった



萌は起床してから

話を母親から聞いたらしい



猛抗議したが

受け取ってしまったし

お金はもう手をつけたあとで

もう、無理だ

と言われ



為す術がなかった



私が外で待っていたのも


家へ押し掛けたのも


知っていた



ずっと悩み苦しんでいた



広場で逢って



残ったお金を持って



逢いに来てくれた









私はどうしようもない怒りを感じた



『お金は絶対全部返すから……』




『いらない。こんなお金いらないから……』



私は萌を抱き締めた



私以上に



萌は辛かったと思う



なにも知らず



のうのうと過ごした自分が



悔しくて……



それ以上に



父への憎しみが



心を支配した




『泣いていいよ。辛かったね…ごめんね……』




私は萌を宥め




『大丈夫だから…』



怒りは鎮まらない…



落ち着いた萌を家に返し



私はタクシーに乗って



手帳に記入していた



父の会社へ向かった




幼少期編 第29話 涙

夏休み最終日なのに


私のキャンパスは


真っ黒のまま


進展が望めなかった


反対に麻生は


絵が完成したらしい


美術館に飾るまでは秘密だと


見せてくれなかった


明日、提出する絵は


適当なアサガオで


絵心すら感じられない


ほんの10分で完成したのだから当然だ





『花を馬鹿にしてる。』


画用紙に描かれた乱筆さに麻生は笑う


私たちは1ヵ月くらい


この場所に一緒にいるが


お互いの事はまったく知らない


聞きもせず


話そうともせず


ただ、時間を共有する


それだけで良かった





『明日から学校だね。』




『つまんないよ。』




『そう。週末にまたおいで。』





突っ込んで話を聞いてこないのが麻生


明日からまた学校と塾の往復だと思うと



ため息が出る…









しかし、嫌でも




明日はやってくる…













新学期




みんな真っ黒だ




担任すら黒くて




異国に来た気分




全員の宿題の絵を


背面黒板に貼る


と、告げられた時は


頭をかかえた…


もう少しマシなのを描けば良かった…


しかし、もうどうにもならない


諦めは早かった


始業式とHRを終え


私は広場へ向かおうとした










『永遠っ……』



校門前で萌が待っていた


泣きじゃくりながら…





『どぉしたの!?




とりあえず


広場へ向かいながら


萌を宥めた


小さい巾着袋を持って


ずっと泣いていた








広場のいつもの場所で


話をはじめた




『永遠……私……私……』




『とりあえず落ち着いて。それまで待つから。』



萌はずっと泣いていて


袖をぐちゃぐちゃに濡らしていた


いったい、なにがあったのか予想もできなかった


でも、萌が来てくれた嬉しさで


私はあふれていた




『永遠、ごめんね……』




『怒ってないよ。』




『これ、返す……』




巾着袋を渡された


中身を見て驚き


萌から一連の話を聞き


私は耳を疑った…



幼少期編 第28話 行動

好きな自分リストを作った



自分の意見をちゃんと言える


堂々とする


行動派になる






私のなりたい自分は


萌だった







なりたい自分になろうと決意した


できる限りの事をしようと思った






塾をサボって


朝から夜まで


萌の家の前で待った






母親から警察を呼ぶと脅されても


数分したら


また戻って来るようにした




炎天下の中


ずっと待った













1週間ほどしたある日


いつもより早く


萌の家まで行こうとした





広場の道で




『この馬鹿犬っドンッドンッ



と声が聞こえた



萌は広場のいつもの場所で


犬を殴っていた



『萌っドンッドンッ



私は走ってそばへ行った



『だれあんた?』






『……永遠だよ。』



深呼吸して


負けちゃダメ!!


自分に言い聞かせた




『なんか用?』




『ねぇ、なにがあったの?』



目を見て話さない萌は


とても不自然で


よそよそしかった






『なんでもない。もう逢えないの。』




『理由になってない!!萌おかしいよ。』







『……じゃあ、ハッキリ言うよ!!永遠なんか大嫌いなのっ!!





萌はそう言って


走って行った









『萌、私待ってるよ!!友達に戻れるまでずっと待ってる!!



私は大声で叫んだ




大嫌いと言った



萌の顔は泣いていた…





きっと……


萌は戻ってくる




だから



昔、言ってくれた言葉を



今度は私が言う番なのだ



待っていよう…



初めて



自分を誉めてあげようと



思った






雲と一緒で




私のこころも




ゆっくり流れだしたかもしれない……




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