わたしは渋谷にいた。
昨日。
それはそれは懐かしい街。
懐かしい人。
あのときぶり、というけど
わたしからしたらもう少し前。
毎日のように一緒にいたころ。
あなたはやはり少し怖い。
なにより見た目が怖い。
でも笑うと昔みたいに幼い。
あなたは臆病な人です。
わたしはあなたを好きだったし
あなたもわたしを好きだったけど
一緒になれなかったね。
それはわたしのせいだし
あなたの決めたことだ。
わたしはなぜあなたに会いたくなったか
不思議だったけど
会ってみてわかった。
どうしても
このタイミングで
会いたかったし
会うべきだったし
実際に会えたんだって。
すてきな3時間だった。
会わなかった6年間を
ぎゅっと凝縮して
これからのことも
生きることも死ぬことも
人を好きになることも
音楽を作ることも
すべてを喋りたくて
喋ったような気になるくらい
熱に浮かされて
言葉を紡いだよ。
あなたは最初、
少し警戒していたし
牽制していたけど
だんだん解けていくのがわかった。
あなたはわたしに秘密を喋った。
あなたはわたしの
心の中に入ってきました。
わたしは
なんだかぼーっと顔を見ていると
少し弟に似ているかもなぁなんて
全く関係のないことを考えたりして。
あなたは、
女の子とナンパしてセックスして
世界征服したって話はできるのに
本当はとても臆病な人です。
わたしには、わかる。
あなたの言葉に
わたしの言葉が乗って
想いを伝えることに
夢中になったね。
あなたを好きになった
私の目に狂いはなかったし
あのときふわふわしてたけど
でも一生懸命だったよ。
わたしもあなたも。
あなたは
わたしが見てみたいと思う変化
そのもののひとつです。
あなたみたいに
奔放で
弱くて
まっすぐな
優しい人は
なかなかいません。
安い昼ドラみたいな
ダサい展開やめようねって
2人で笑い合った。
あなたは、会ったその日に
すぐ女の子とセックスする癖は
あの頃とは変わりませんね。
たくさん女の子がいてくれても
あなたはそんなことが
したいんじゃないでしょう。
私たちは、
臆病すぎる。
弱すぎる。
傷つけるのも
傷つくのも怖くて
一歩も踏み出せない。
だからいつも
待っているんだよね。
誰かが自分を好きになってくれるのを。
あなたの中に
あなた以外に
わたしを見つけました。
自分の根っこを何度も見つけた。
自分の一部を見つけた。
これからの自分のありたい姿を見つけた。
昔の壊れかけの自分を見つけた。
わたしはそれが本当にうれしかった。
わたしたちは時間を共有した。
そして、同じじゃないのに
限りなく同じに近いものを
それぞれの心に描くことができた。
その充足感たるや
アルコールがいらないくらい。
シラフで生きたいって思った。
アルコールよりも
セックスよりも
クスリよりも
気持ちがよかったね。
こんなことってあるんだね。
わたしたちは手も繋いだことがないね。
あなたは、いつも私に
昨日女の子とあんなことしたこんなことしたと言うのに
わたしにはどうしても想像できない
臆病でよわくて優しいあなたと
むすびつかない
あなたは言いました
苦しくてつらくてどうしようもなくて
それでも生きててよかったと思える日が
数年に一瞬あって
その瞬間が大好きなんだ
そのために生きてるんだって
さよならしたあと
それは今日だと言ったね。
あなたはしばらく置いて
真夜中に
ほんとに好きと言った。
わたしも好きと言った。
人間として、とか
ファンだから、とか
ふたりとも
頭や後ろに付けてね。
わたしとあなたは
よく似ている。
一番大事なことがなんなのか
考えて誤魔化せないね。
わたしはわたしから逃れられない。
それが実は最近楽しいんだ。
これは恋愛じゃないとか友情だとかなんだとか
そんなことは
なんだっていい。
わたしは
あなたと話せてよかった。
あなたの中にある
さびしさや悲しさが
どうしようもなく透けて見えてしまうから
だから、嫌いになることはないだろう。
ときどきあなたは怖い顔をする。
知らない男の人の顔。
一体この6年間、
何を見てきたの。
とても怖いものを見てきたの。
あなたはとても強い人だ。
あなたは戦っている。
でも一人ではないと言う。
わたしも
いっしょに大人になる。
失いたくない。
あなたともっと
いろんな話がしたいから。
変わる姿を見たいから
見ていて欲しいから。
くだらないことで
遠くに行ってしまうのはいやだ。
恋愛なんかで失いたくない。
お金がない2人。
あんなもんはただの紙なんだ。
お金は信用なんだと。
だからわたしたちは
信じてるものが違うから
もう決して裕福になることはないのでしょう。
あなたはアーティスト。
誰がなんと言おうと。
かっこいいよ。
とても。
何かの職業がかっこいいなんてことはないんだ。
人間なんだ。
何をやっててもどこにいても
かっこいい人はかっこいいんだ。
あなたはわたしにたくさん
ヒントをくれたから
わたしはこの先ひとつずつ
それを思い出して
思い知るんだろうな。
わたしはね、
男でも女でも
こういう人が好きなんだよ。
それはね、
自分の中にしなやかな芯があって
それはまわりに見せるためのものじゃなくて
自分の中にあるもの。
絶対に折れない。自分の筋。
あるんだけど
何かに出会うたび迷ったり惑ったりする、そんな姿が色っぽいって思う。好きになる。
って。
そしたらびっくりしてたけど。
わたしは迷いがない人が
あまり好きではないんだよ。
だって、絶対だなんて
言えないから。
もっとグレーでいいよ
あいまいでいい。
もっと汚れていい。
はみ出して
疑って
むきだしで
魂で感じて
ぶつかって。
あなたがセックスするとき
女の子とは肌が触れ合って
中に入ってるのかもしれないけど
こんな風に
触れ合わなくても
中に入れるんだよ。
そっちの方がずっと興奮する。
ずっとずっと素敵だ。
神聖なものなんだ。
わたしにとっても。
本当に大切なんだ。
ありがとう。
こんな気持ちを教えてくれて。
生きる意味。
生きる筋。
年を取っても
たまに会って
笑い合っていたいよ。
みんなが理解できなくても
2人がわかっていればいい。
そういう類のものじゃない。
いっしょに生きてる。
はなれてても。
だからわたしもつくる。
わたしにできることを
脇目も振らずにやる。
同じものを見ている。
1人じゃないんだ。
それを感じた。
違う人間だから
同化できないし
全く同じはずはない。
でも、限りなく同じだった。
届いている気がした。
届いたから。