近年、ビジネスパーソンに必須の能力として、コミュニケーション能力を挙げる企業が多くなっています。記憶力が良くても、計算が早くても、職場や取引先との人間関係を円滑にこなせなければ、十分な成果を挙げることはできません。知的労働の最高峰とされる医師ですら、コミュニケーション能力が問われる時代。



ではいったい、このコミュニケーション能力はどうすれば身に着けることができるのでしょうか。巷にはハウツー本がいろいろ出ていますが、本を読んだだけでは何だか釈然としないという方もいるはずです。頭ではわかるが、心が付いていかない。一生懸命話しても、何だか心が通じない。もしそう感じるなら、少し回り道ですが、まずは「自分が何者なのか」を知ることから始めてみる。そんな試みも有効だと思います。



別に難しく考えることはありません。誰にでも、自分の好きな部分、嫌いな部分があるはず。人に誇れるところもあれば、情けないところもある。そうした、不完全な部分も含めて自分なんだ。そう感じることが出れば、少しは気持ちが楽になって、いつの間にか自然体で人と話せるようになっているのではないか、と思うのです。



かれこれ20年以上前、ある本屋さんで「交流分析」という本を手にしました。この本は、私が対人関係で悩んでいたとき、真の人間的交流の在り方について教えてくれた貴重な一冊となりました。その中に次のような一節があります。


「生きとし生けるもの同士としての共感の前には、人種、肌の色、性別、国籍、出自などの違いを乗り越えた真の交流が可能となる」(交流分析の第一人者、九州大学心療内科教授 杉田峰康先生の言葉)


自分自身にまとわりついたすべての属性を取り払ってしまえば、素の自分しか残らない。この素をしっかりと認識すること。これができれば、自然と上手なコミュニケーションが取れるようになると思うのです。