私は大学生の時にオーケストラ・サークルで管弦楽サークルに所属し,ヴァイオリンを担当していたこともあり,楽器といえば,幼い頃から習っていたピアノを除けばヴァイオリンをはじめとする弦楽器に馴染みがあります。(ちなみに私の配偶者はチェロですが・・・)ですから管弦楽や4リズム(ピアノ+ギター+ベース+ドラムス)とストリングスに必要な管打楽器を加えたポップス・オーケストラのサウンドはまことに心地良いものがあります。今回は『音楽畑5』の最後に収録されている《晩秋のアダージョ》(サブタイトルは~ADAGIO FOR STRINGS~)を取り上げます。後に発売される『オーサーズ・ベストVol.1』の第1曲目にも収録され,コンサートでも何度も取り上げられた服部先生お気に入りの1曲です。
楽曲はAマイナーで弦楽合奏が開始され,ベースラインは服部先生お得意の順次進行が多くなだらかで跳躍進行はほどんどしません。(服部先生の楽曲はこのスムーズさが1つの魅力なんですねー)途中からヴァイオリン・ソロが加わり跳躍進行を含むメロディーを2拍子を挟みながら進行し,頂点を築いた後ハープの分散和音に導かれてBメジャーに転調します。(音楽畑シリーズとしては珍しいキーで,しかも楽曲冒頭からみると遠隔調)ここは弦楽合奏で演奏され,やがてさらに半音上のCメジャーに転調するとまたヴァイオリン・ソロが登場します。そして一旦弦楽合奏で先程のメロディーが演奏され,最後にヴァイオリン・ソロのN.C.の部分を経由して,そのあとDm9→Em7→FM7→G→Aで終わります。(つまり楽曲冒頭の同主調)特に最後は,メロディーがソラーと3回演奏されますが,その都度コードが違うところが素敵ですね。(1回目:FM7,2回目:G,3回目:A)この楽曲の私が好きなところは,ヴァイオリンのソロをフィーチャーした楽曲の割には音域がそこまで高くなく(1番高い音でもG♭)ヴァイオリンをそこそこ嗜む人には,音程はともかく頑張れは弾けることです。どちらかというとヴィルトゥオーゾ的な要素ではなく,ヴァイオリンの豊かな中音域を聴く楽曲かもしれません。
服部先生はライナーノーツによるとこの楽曲をロンドン交響楽団のサウンドに啓発されて作曲されたとのことです。私にとってロンドン交響楽団といえば,同じ『音楽畑5』に収録されている《銀河伝承》や数々の映画音楽でのパワフルなサウンドがまず頭に浮かびますが,そこはさすが服部先生ですね,ロンドン響からまた異なる一面を引き出しておられます。また,服部百音さんもこの楽曲をコンサートで演奏されていらっしゃいましたので,できればアルバムに収録してもらいたいところですね。もちろん他のヴァイオリニストのレパートリーとして定着してくれることも期待したいです。
