私が好きな音楽要素に,何らかの音楽的パターンを繰り返す「オスティナート」があります。これにはリズムのみならず,コードなども含まれるのですが,否が応でもゴールに向かって楽曲が盛り上がります。『音楽畑』シリーズの楽曲にも何曲かありますが,オスティナート=執拗なという点ではこの《向日葵畑(ヒラソル)》に「軍配」が上がることでしょう。スペインのグラナダの向日葵畑を楽曲化しています。
服部克久先生は,雑誌『楽譜DTP』(2006年1月号)の中で「ひまわりの花が全部同じ方向を向いていて,まるで軍隊みたいだなと思って,ちょっと軍隊行進曲風に作りました」と仰っておられます。確かにレスピーギが作曲した交響詩《ローマの松》の第4曲〈アッピア街道〉に通じるものがあると思います。
私がこの楽曲が好きな理由はあと4つあります。1つは同じメロディーが2回繰り返される時,1回目と2回目でコードが異なる所があるという点です。(例 1回目:Fdim/A 2回目:Dm7)このように,1コーラス目と2コーラス目で何かが違うというのが大好きで,例えばこの楽曲ではキーがCメジャーに変わってから,2コーラス目のみドラムがクラッシュ・シンバルを叩くところがありますが,2コーラス目の方が音数が多かったりするとワクワク盛り上がりますね。2つ目はこれまた私が好きなコードであるsus4(係留音)が何度か登場する点です。マーラーもよく用いていますが,すぐ次に行かずに一寸立ち止まっているかのようなモラトリアム感がたまらない!3つ目は前半はカスタネット後半はタンバリンがリズムの要になっているという点です。この2つの楽器にトライアングルを加えた3つの打楽器をある意味で最も難しい打楽器だと思っていますので(CDでは名手,金山功さんが演奏)それも聴きどころの1つでしょう。4つ目は私が好きな管楽器第3位のホルンが活躍するという点です。CDではロンドン交響楽団とフィルハーモニア管弦楽団のプレイヤーが参加しているようですが,立体的でハリのある音が素晴らしい。ロンドンのオーケストラの中でもホルン・セクションには定評のある楽団ですから,さもありなんというところでしょう。
実はこの楽曲は個人的に残念なことがありまして,それは前述のキーがCメジャーに転調してから2コーラス目に入って頂点を築く前にフェードアウトが始まるという点です。しかし,よく聴いてみるとその方が目の前に軍隊が現れ,そして通り過ぎて行く感じがします。コンサートでも何度か拝聴しましたが,今でも聴くと元気になる曲です。
