以前ブログで「私は楽曲を作曲家本位で聴く」というような事を書きました。古代ギリシアのおいては,音楽と詩(言葉)そして舞踊の3つは一体であり密接な関係にありましたが,それぞれが複雑化するにつれて分離していきました。(最近のポップスシーンではまたそれが戻りつつあるようですが・・・)そういう経緯もあり,私は前述のように考えるのは,作曲家が他の芸術の力を借りずに聴き手に何かを伝えようとする意気込みを買いたいのです。ですから服部克久先生が手掛けられていたインスト・アルバム『音楽畑』シリーズに出会ったのは必然とさえいえます。

 そしてインスト・ナンバーを聴き進むにつれて不思議な楽曲(タイトルからは連想できないキー設定やテンポ設定)に出会うようになりました。特にキーについては,タイトルからは明るいものを連想するのにマイナー・キーを用いていたり,暗いものを連想するのにメジャー・キーを用いていたり(シューベルトの歌曲集《冬の旅》など・・・これはインストではありませんが)していて,なぜだろうとよく思ったものです。これに歌詞がついていたら,歌詞から理由が分かってしまうのではないでしょうか?要するに私はそこら辺のことを想像したい(妄想したい)変態だということですね。(歌詞が入った楽曲を馬鹿にするものでは全くありません)

 この《ふたりのプレリュード》もその1つで,最後の最後のエンディングでメジャー・キー(Cメジャー)に転調するまで,終始マイナー・キーを貫きます。最初にヴィオラの刻みから始まるのは,当時皇太子さまだった天皇陛下の愛奏楽器だからだそうです。Aマイナーから開始され,服部先生らしいピアノの単音を生かしたメロディーが続きます。第2テーマに入りテンポ・アップしてストリングスにメロディーが移ってもマイナー・キー(Eマイナー)のままで,服部先生らしい決然としたクラシカルな雰囲気が素晴らしい。最初に戻ると私が好きなメロディーが同じでありながら,ドラムスが前回とは異なるリズムを打ちます。そしてエンディングに向かって細かくリズムを打つようになり,最後の最後でようやく平行調転調してCメジャーで楽曲が終わります。なお当楽曲は『音楽畑』のナンバリングされたシリーズには収録されていません。

 極めて余談ですが,私は(私たち夫婦は)この楽曲を結婚披露宴の登場に使用させていただきました。(もう1曲は『音楽畑7』《虹》)プレリュードが終わってインテルメッツォくらいまで歩んできました。妻への愛情は〇〇〇しまっても,服部先生の音楽への愛情は全く冷めません!なんてこんなことを言っては・・・。