服部克久先生の「音楽畑」シリーズの楽曲の中には,時々ドキッとするような恐ろしいくらいに美しい楽曲があります。『音楽畑10』に収録されている,日本の国蝶「オオムラサキ」をテーマにしたこの《パープル・ファンタジー》もその1つです。昆虫にそこまで興味があるわけではない私ですが,雄の成虫は本当にきれいな紫色をしていて,本当に素敵な蝶だと思います。
楽曲はピアノのC#とD#のトレモロから始まり(N.C.),やがてテンションを伴ったハーモニーと共にメロディーのモティーフが現れます。このトレモロがまさに蝶が羽ばたいているかのようですが,音を変えながらヴァイオリンのハーモニクスを伴って何度も登場し,やがてテンポ・アップして今度は決然と前述のモティーフ(4小節間:付点2分音符/付点2分音符/4分音符+付点4分音符+8分音符/付点2分音符)が現れ,その後ピアノの単音による連続3連符は蝶が舞っているかのよう。(リピート後の2回目はストリングス)このまま同じモティーフが転調をしながら,やがてアッチェレランドしながら頂点を迎えます。(ホルンのオブリガードと最後の駆け上がりがまたイイ)そして蝶が舞い降りるかのようにピアノの単音で下降していき(ここもN.C.),再び同じ同じモティーフが登場。ここでC#m7→Dm7の部分があるのですが,私はこの半音上がって視界が広がるかのような雰囲気が大好きなんです!そして最後にまたピアノのトレモロが登場しどこかに飛び立ってしまったかのように静かに楽曲を閉じます。とにかく,ピアノの単音とストリングスの美しさを堪能できる1曲であります。
私は冒頭からずっとピアノが活躍することもあり,「音楽畑」シリーズの楽曲の中でも好きな1曲です。また同曲は『音楽畑 ピアノソロ BEST of Best』にもピアノ・ソロ版の楽譜が掲載されています。
