私は小学校の1年生からピアノを始め,中学校では吹奏楽部でクラリネットを吹いていたのですが,その頃になると,自分が弾いたり聴いたりしている楽曲に対して,ある種の違和感を感じるようになりました。1つはサウンドについてで,クラシカルな楽曲以外のサウンドに興味をもち始めたこと(これは服部克久先生のおかげ),もう1つは楽曲のタイトルについてで,吹奏楽の楽曲には格好いいタイトルなのに自分の好みとしては・・・というものが散見されることでした。(これは今でも言えることかもしれません。しかし,今でも吹奏楽のコンクールに足を運んだりCDを聴いたりしますので,吹奏楽を他の編成より一段低く見ているとか,まして貶しているわけではありません)そこへいくと,服部克久先生の楽曲はメロディーやサウンドばかりではなくタイトルまでも等身大で肩に力が入っていない所が非常に好感がもてます。今回はそんなタイトルの代表格である『音楽畑2』より《水》を取り上げたいと思います。(何せ「The”Water”」ですからね!)
楽曲はGメジャーで開始され,4小節の短いイントロの後主部に入ります。主部はピアノの単音によるソロで,服部先生お得意の音階によるメロディーです。これは順次進行の下降音型で,まるで「水は低きに流れる」のごとしです。ベース・ラインもずっと動きません。Eマイナーに転調し,メロディーはこれも服部先生お得意の6度のハモリを伴う儚いメロディーに転じ,一転してベース・ラインは次にGメジャーに転調するまで4度上行(5度下行)を続けます。そして元のGメジャーのメロディー(今度はストリングスを伴って)に一寸戻ったと思いきやまたEマイナーに転調し,今度はバロック調の跳躍を伴うメロディーがストリングスで演奏され,ここのクライマックスは水のまた異なる一面を表現しているかのようです(ドラムスも入って結構刺激的)。そしてマイナーキーのまま前述の6度のハモリを伴うメロディーが今度は異なる音高で現れた後,また最初に戻ってメイン・テーマが登場し,最後はコーダに入ってイントロの片鱗がコードを変えながら(Dm7/G→C/G→G)余韻のように現れて終わります。服部先生の「音楽畑」の楽曲では珍しく?並行調転調して楽曲を通して調号が#1つのままです。
「音楽畑」シリーズの楽曲には,他にも『音楽畑3』の《ル・ローヌ(河)》に代表されるように「水」にスポットを当てた楽曲が多くあります。それらの楽曲の「水」の表現を聴き比べるのも面白いのではないでしょうか?もちろん楽曲のタイトルはシンプルですよ!
