服部克久先生の代表的な音楽活動には,「音楽畑」シリーズと並んで,「東京ポップスオーケストラ」があります。このオーケストラが発足し,全国でコンサートを行うと知った時は,「服部先生の新たな一面を見ることができる!」と歓喜しました。それまでは「音楽畑」シリーズで服部先生のオリジナル作品を中心に拝聴してきましたが,この「東京ポップスオーケストラ」シリーズのCDやコンサートで服部先生や他の編曲家の方々(このアルバムでは服部隆之先生,佐橋俊彦先生,渡辺俊幸先生)のアレンジを聴くきっかけとなりました。そこで今回は同シリーズ第1作の第1曲《Tokyo Pops Orchestra Opening》を取り上げます。
楽曲の冒頭から服部先生らしさ全開で,打楽器のロールのあと,低弦が鍵盤打楽器のバッキングを伴ってリズミカルなメロディーを担当しやがて,ホルンがこれを受け継いで長いイントロが終わり,鍵盤打楽器のバッキングを伴ったままCメジャーの高弦のメロディーが始まります。ここではエレキ・ギターの合いの手がいい感じ。その後ヴァイオリンがしっとりとしたメロディーを演奏したあと,E♭メジャーに転調しホルン,サックスへとメロディーが移ります。ここでのヴァイオリンのオブリガードが美しすぎる!そしてそのままサックスがアドリブを展開しながらフェードアウトして楽曲が終わります。まさにオープニングにふさわしい楽曲です。
さて実はこの楽曲は私にとって不思議な1曲でもあります。おかげさまで服部克久先生のコンサートに約30年で70回行くことができましたが,じつにそのうち18回がこの東京ポップスオーケストラのコンサートでした。初めて楽屋にお邪魔させていただいたり,「追っかけ」のように2日続けて聴きに行ったりと何かと思い出深いコンサートでしたが,何故かこの《Tokyo Pops Orchestra Opening》を1度も生で聴いたことがありません。(開演待ちで客席で流れているCDの演奏は何度も聴きましたが)そしてコンサートで演奏されたアレンジ(演奏)が全てCD化されているわけではないということが残念でなりません。特に私の記憶違いでなければ,奥慶一先生アレンジの《Shall We Dance?》と萩田光雄先生のアレンジの《リベルタンゴ》(チェロは山本裕康氏)が印象に残っています。この「東京ポップスオーケストラ」シリーズを通して,私は改めて日本のアレンジャーのレベルの高さを再認識するのでありました。
