頭蓋から耳へ、耳から鼻へ、穴という穴全て、細胞一つ一つ、奥から奥から幾重にもなってけたたましく、乾ききった嗤い声がずんずんと身体を蝕んでゆく。



真白なPC画面がぐるり一周、捻れた。



誰だ、誰なんだ



耳を塞いでも髪を掻きむしってもケラケラケラケラと不協和音を奏でながら身体中、嗤い声がまとわりついてくる。 振り払うといっそう嗤い声が大きくなる。部屋の外では赤ん坊がぎゃあぎゃあと泣き喚き、それが更に私を狂わせていった。

次第嗤い声の主がうっすらと、歪みきった冷ややかな顔で此方を凝視し口角だけピクリと持ち上げた。






――――――――母か・・・







雨水滴る蜘蛛の糸にもがきながら死にゆく虫のさまをふと、自身に重ねた。薄ら嗤いを浮かべる顔は尚も此方を覗き込んでいる。


眼前に歪む景色は、混濁した意識に母の顔をより一層浮き立たせた。





ぐるり、ぐるり、ぐるり。






母から逃げるように自身の身体も回って捩れて、どこを向いているのかさえままならぬ。


弱い意思と意識が故、この足枷から抜け出せずにもがいている。このままではいけない、どうにかしなくては。


気ばかりが焦り、その内頭の中は紙ふうせんの様に隙間ばかりが埋め尽くす。




鳩尾あたりがシクシクとし、ふと我にかえった。座り込んでいたはずなのに気づいてみれば突っ伏しており、真白だったはずのPC画面は真暗に沈黙し、どうやら私は画面と共に倒れこんでいたようだ。




数分間、どうも意識がなくなっていたらしい。


耳鳴りがきんきん響いている。が、気づけば赤ん坊の泣き声は何事も無かったようにしんと静まりかえっていた。




真夜中に風がすぅと吹き抜け、レースのカアテンがふわり、膨らんだ。



























続く











――― 薬が切れた


ケケケと笑いながら夕暮れ過ぎた薄暗闇にバックの中を弄ってみるものの、やはりもう安定剤と睡眠薬は無い。

あるのはマルボロと中身が空の財布のみ。

この前の夜、多量に飲み込んでしまったのが間違いだったのかしらん。くしゃくしゃになった銀色の紙しか残っていない。病院に行きたくとも銭がないし何より動く気力がない。


もう既に3日無睡眠なものだから、さすがに動悸と激しい頭痛が起きてきている。


チッと舌打ちしてまたヘラヘラと笑って見せた。正常ではない日常と意識を宥めてくれるのはパーソナルコンピュウタアと携帯電話に保存されているあの人からの過去メエルのみ。

してやったりのしたり顔した母親に薄ぺらな心配をされ無理やり食事を摂らされる。ごくりと飲み込むと同時に猛烈な吐き気に襲われるがその場は誤魔化し、もういらないと箸を置きコンビニへ行ってくると家を出て便所へ駆け込む。げぇげぇと吐き出すさまは今の私にしっくりくる。


ひとしきり吐き出した食物に胃がかなり持ち上がってきているが、ふぅと煙草を一蒸かし、胃は徐々に定位置に収まった。しばしコンビニにて行き交う人々の顔を眺めてみようと、駐車場へしゃがみこむ。

学生や社会人が丁度帰宅の途に着く時間帯のようで、様々表情が目に飛び込んでくる。もう一本、煙草を取り出した。

ゆらゆら揺れる煙草の煙の隙間から、少しずつ照明器具の明かりが眩しくなってくるのを感じ取れた。目を細め出入りする人々を観察すると、学生は皆笑顔で入っていくが、社会人の面々は一様に無表情であった。

これが人生経験の経年差なのだろうか。無意識の内、仕事脳に侵されてしまうと表情すら脳より頑なになってしまうのであろうか。初夏の今、蛍光灯の辺りに虫がブンブンとうるさい。


じじじじ-  ばちん

じじじじー  ばちん

じじじじー  ばちん


紫色の蛍光灯に吸い寄せられた虫たちがぽたぽたと殺生されアスファルトに堕ちて行く。

くらくらと目眩が、私もあの虫同様吸い寄せられていっそ殺されてしまいたい願望に飲み込まれそうになった。

寄りかかっていた金網の網目に指を絡めながらよれよれと立ち上がり、帰りたくは無いが自宅に戻らなくては。重い足どりで側溝の蓋のつなぎ目を頼りに何とか真っ直ぐ歩く。


また現実に戻るのか。


道路の白線がぐにゃぐにゃして見えるのは気のせいだろうか。眼前にあの人の顔が幾度と無く現れるのは気のせいだろうか。

無邪気な小学生がきゃあきゃあ云いながら自転車を漕いで私の横をするりすり抜けていった。


思えばあのくらいの時期から私に自由は無かったな。

言葉を発しようとすれば「うるさい」「あんたは嘘つきだから喋るな」と怒号が飛び、喋る事ができなくなった。食事の茶碗を家族全員片付ける母は何故か私の空の食器だけ置きっぱなしだった。友達は選別され、兄と勉学の優越を比較され、デブで父親似で、喘息持ちで勉強ができない。そんな私を疎ましく思っていたのであろう。

その頃の私は本を貪るように読んでいた。かなり難しい精神論とか読んでいた記憶があるが、今となっては記憶にうっすらしかない。時折、単語単語がふと頭を過ぎる。


小学四年頃両親は離婚したが、原因は多分母の浮気であろう。離婚して半年後に新しい父となるべく人が現れた。当時の私は夜中に皿やら包丁やらが飛びかうよりましだと思っていたし、なにより母親を第三者という感覚でいたものだから新しい父親だろうが何だろうがどうでもいいことなのであった。


なんだかそんなことを様々歩きながら思い出してしまい、いつもよりもずっと時間をかけて帰宅し、自宅に戻るとすぐに思考を巡らせまいとパーソナルコンピュウタアの前にしゃがみ込んだ。



あの人からの「さようなら」がどうにも頭から離れない。



頭痛と共に涙が出てきてしまうのでどうにか別の思考をしなければ。心臓音が激しくなってくるのがわかる。


自分に多分に原因があるのであって、私から決別をしたのであって、私より何よりあの人のほうが余程傷ついているのであって、私が眠れないのは自身への罰であって、これはもうどうにも仕方の無いことなのであるのだが、「ふざけるな」とか「最低だな」とか暴言を一切云わずに全てを飲み込んでくれたあの人に後悔の念ばかりが振り払えずにいる。


息がいよいよ苦しくなってきた。

真白いPC画面が目を焦がし、頭蓋の奥から奇妙な笑い声が聞こえてくる。誰なのだろうか。







続く




「髪切りたい」をやたら連呼する人が居る。


「髪切りたい」と「髪切りたい」の語尾になんとまさかの「髪切りたい」を繋いで来た。




これでは今後の政治不安が募るばかりで、それのせいかなんと本日朝食用と云わんばかりにチョココルネが卓の真ん中、鎮座しているではないか。




朝食はしょっぱい物と決め付けていたものだから、こんな未曾有の出来事にどう対応すればいいのかなんて解ったものではない。私はチョコレイトが大好きなので、あと何年働けば朝食にチョココルネが食べられるかと夢見ていた矢先の出来事であるから驚いた。ただがむしゃらに働いた。チョココルネを夢見て。


ギブミーチョコレイトと今来た郵便局のおっさんに懇願してみたら、真っ赤なガーナではない真っ赤な何かを手渡された。これも罠か。




こんなことばかりが起こる日々、やはり政治不安が懸念されるものだからこのチョココルネはETC上限1000円廃止のお詫びなんじゃないかと恐怖で膝がガクガクしている。これを喰らったら二度とチョココルネが食べられなくなるかもしれない・・・。


そう思うと「1000円よりメリットのある場所までもう走行しません」とペットのインコに誓うから、どうか平穏な日常を返してくださいと国土交通省に相談しようかと電話の前でチョココルネを千切り千切り喰らいながら悶々している。



そんなところにまた、日本政治不安の根源「髪切りたい芸人」が電話をかけてきた。こんな人と会話をしたら不安は更に加速するばかりなので、留守電調にて会話をし、最後にピーといって切った。






人生焦っちゃいけないよと尤もらしく語ろうとする私がここに居るのだがもう3日寝ていない。ノンレム睡眠どころかノン睡眠。頭がくらくらしてきている。病院に行こうにも心も財布も余裕が無い。


なので三点倒立を試みたが、もっと頭がくらくらしてきた。誰か上手な三点倒立教えてください。


七転八倒中なのでせめて三点くらいに留めたいんです。






「速やかならんを欲するなかれ、小利を見るなかれ。速やかならんを欲すればすなわち達せず、小利を見ればすなわち大事成らず」






ぼつぼつ歩いていきますよ。

運命共同体を誓った人に私は、不本意ながら残酷な言葉を突きつけ大きく相手を傷付け、結果離れる事となった。


悪あがきも見せてみてはみたが、

「さようなら。」


の返事後、当然反応は無い。屍。


誰かドラゴンボール七つ集めてください。


仙豆はまだ食欲無いから遠慮しておきます。


そんなんで二日間貫徹し今に至る。口から魂のしっぽがベロベロ飛び出てきていて堪らない。白魚踊り食い。


そりゃ大便のキレも悪くなりましょう。

その人との思い出といえばラルクアンシエルの府中競馬場。
行きの道中はライブとは何ら関係のない鳥肌実集よりオオクワガタの件を拝聴し、のりのりであったのだが、あの時のあの人は凄かった。会場着くやピクリとも動かない。

わかっちゃいたが、あすこまで動かない修行僧は人生初である。
私は友人達が狂喜乱舞するを横目に、ラルクに全く興味の無い修行僧へ罪悪感こんもりな気持ちでいた。

土砂降りの雨であったから、心の中でただひたすら修行僧へ賽銭投げ入れ合掌を繰り返す。100万は軽く越えてると思う。


どうぞスティングレーの頭金にしてください。



私の様々、呪縛から解放された暁には今一度悪あがきしてみようと思う。
完全拒否は明白だが私はまだ諦めていない。


それでも無理ならば、永遠片想いで人生閉じようと。


悪あがきの内容は、全裸でラルクを歌いきるでも鳥肌実を完コピするでもみうらじゅんになりきるでもありませんよ。

私は幼い時分病弱でよく風邪を引いていたのだが、今現在どうかといえばNHK放送のアラビア語講座「私たちは20人です」を真剣に観覧できるくらいの健康体である。

これには全米も涙したくらい衝撃的な事実なのだが、「スーパークールビズ」を「スパークヒルズ」と読み間違え、地上波初登場六本木ヒルズを舞台に巻き起こるドタバタ恋愛ドラマ「六本木を着た悪魔」でも開始されるのではないかという恐怖に腹痛を覚えた私はO111に少々汚染されているやもしれん。


が、この事実はあえて私とあなたとあすこの人、3人の秘密としよう。



ところで私にはナオトインティライミという秘密の呪文がある。

この呪文は時に瞑想時に便所にて唱えることが度々あるのだが、人というのは贅沢な欲望に飲み込まれていくものである。


最初は話ができるだけでいい、目が合うだけでいいなんて小さな喜び心いっぱい満たし過ごしていたはずだのに、ひとたび両想いと解るや付き合い始め、接吻したい、合体したい、自分だけの物にしたい、果ては殺したいくらい愛してるなんて限りない欲望無限ループへと迷走する生き物。求めても与えても枯渇する感情は果てしない。

「人間はいかなる行為よりも、多くの快楽を与える行為をしないではいられないものだ。」とはよく言ったもので、インティライミよりももっと響きいいものを求めてやまない私がここにいる。



そんな欲望を抱えたまま私の話はケイゾクする。中谷美紀は出てこない。白い靴下が汚れたならば渡部篤郎は出てきてくれるやも知れん。




ある知人、非常にいっぱいいっぱいな状況に追い込まれている。仕事に勉強に異性にと。欲望果てし無く、来る物拒まず精神なのだ。

知らん人が聞けば非常にがむばっている良い人間ではなかろうかと思うであろう。本人非常に志は高い。

りつぱ。立派。である。


つい先日もスクーリングなぞいう屋内イベントへ向かうべく、朝一番のひかりに乗って出動していった。途中経過を私に連絡くれたので、おぅなかなか頑張っておるの、なんて関心していた。


その日の夜。大学はどうでしたか?とプププとメィルで連絡を入れてみたところ、仕事でどうやら身体が疲れているらしく全身かなりしんどい、と内容は重いがレスポンスは軽い。すかさず私もそりはにうさん満ち満ちの気配、はよ寝て明日に備えなさい。パタムと携帯を閉じる。


あくる日。無事に済んだのだろうかと思いつつ連絡をまつこと夕刻。



「昨日の痛みはにうさんではなかった」


友人宅にて新幹線ギリギリまで介抱してもらい挙句、駅まで両親に迎えに来てもらったのだという有様。

高熱と下痢に体中を侵され、屁をひりだすにもひりだせずただひたすらにアイラヴピローとなっていた模様。


そう知人は熱男である。



明日が楽しみだ・仕事が猛烈に忙しい・ちょっと肌寒い季節  なんて事あるごとに身体に熱帯高気圧を発生させる夏ナツなつナツココナッツ熱男。

そうして熱男はそこから1週間という長い日数を費やし、甚大な被害を撒き散らしながら健やかな身体を取り戻すことに成功した。


来る物拒まずどころか拒みまくり熱を出し、自身に関係者にダメージを与える熱男にせめてベホマを誰か教えて下さい。



今日も熱男はガンダム無双で必死に戦っている。