あの夜の匂いのするファンタジーには、ミステリアスな女がよく登場した。
その彼女が主人公だったり、逆に主人公の男を非日常に導く謎の存在だったりする。
……夜の仕事を終えて帰宅し、馴染みのマッサージ師に心の疲れをほぐしてもらう彼女……
……一ヶ月先に時間移動する能力を身につけた男が、未来で抱いた見知らぬ女は、今日初めて出会った顧客の愛人だった……
……パトロンの亡き妻と瓜二つの職人から買ったドレスが、彼女を包んで燃え上がる……
……白タクの男が女性客を犯す妄想を繰り広げるうち、愛車が女を漁りに一人で走り出す……
……鳥目の男の 子を身籠ってしまい、激しい腹痛にトイレに駆け込むと、鳥の卵を産み落とした……
わたしは色んな物語に影響を受けながら自分の物語を生きて来ているけど、そんな彼女たちもわたしの現在の姿を作り出している。
今のわたしの人生を経験しながら、自分と彼女たちに共通点を見つけて時々思い出す。
いやむしろ、彼女たちに憧れて、無意識のうちに真似をしているのかもしれない。








