【D】
「リポビタンD」
栄養ドリンクを飲む状況は、人によって様々だ。
仕事で徹夜しなければならないとき、試験前の追い込みのとき、飲み会前に気合をいれるために、そして、ごく稀にだがこんな状況もある。
栄養ドリンクをお客に売るために。
数年前のある日、僕はスーパーでリポビタンDの即売会のバイトをしていた。
試飲として、リポビタンDを一本タダでお客さんに配る。そして、気に入ってもらった人に12本入りのケースを買ってもらう、という仕事だ。
無料で飲めるので、人はたくさん集まってくる。マイケルジャクソンのライブ並に、僕の周りにおじさんやらおばさんやらが寄ってくるのだ。
だがしかし、無料の一本を飲む人は多いが、ケースを買う人は少ない。その中に、こんなことを言うおじさんがいた。
「売っている兄ちゃんが元気ないんだもんなあ」
僕はその言葉を聞いた直後に、その場でリポビタンDを飲み干し(バイトの僕は何本でも飲んでいいと言われていた)、
「いやあ、こんなに元気になっちゃいましたよ!」
と急にテンションをあげる技を使ってみた。
すると、売れた。
みんな面白がって買ってくれた。
それに気をよくして、僕はこの技をその日だけで6回ぐらい使った。
たくさん売れたので、ルンルン気分で家に帰った。
次の日、異変が起きていた。
僕の体中にじんましんができていたのだ。
栄養ドリンクは、1日に1本か2本飲む用のもので、6本も飲むと体に合わなかったみたいだ。
また一つ、僕は人生の不条理さを味わったのだった…。
あと、一つだけ気がかりなことがある。
僕が売っていたのは「リポビタンD」ではなくて「チオビタドリンク」だったかもしれない、ということだ。だが、もしそんなことになれば、今日のテーマの【D】とまったく関係がなくなってしまうので、ここは「リポビタンD」だったことにしておくとしよう。
過去に書いた【D】
AtoZ3.0→女性読者を増やそうと思います!
ZtoA→『DNA ON DNA』
AtoZ→電気グルーヴ
