エマニエル夫人でもキュリー夫人でもましてやベッカム夫人でもない。
チャタレイ夫人である。
車椅子生活のチャタレイは子供が生めない。チャタレイは、チャタレイ夫人に「誰か他の男と寝て僕らの子供を作ってくれ」と言い出す。チャタレイ夫人は身分の違う使用人と恋に落ちて…。
印象に残った箇所をいくつか引用してみよう。
『文明社会というのは狂っていた。金銭といわゆる恋愛とが社会の二つのマニアであった。なかでも金銭のほうがはなはだしかった。個人はそのばらばらに狂った精神でこの二つのものに熱中しているのだった』
『「もし恋愛問題というのがなくなれば、それにかわるものが何か出てきますね。たぶんモルヒネですね。あたり一面の空中に少量のモルヒネがあれば、だれにとっても気持ちが良いと思いますわ」
「政府が週末を楽しいものにするために空中にエーテルをまくか!」』
極端な思想を持った人たち(ただし、かなり共感できる)が繰り広げるハチャメチャな恋愛物語。これは性文学の傑作であり、サドやウエルベックを初めて読んだときのような高揚感を味わった。
