「I」『インディヴィジュアル・プロジェクション』阿部和重著 | 最強の作家への飛翔

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(individual projection 『インディヴィジュアル・プロジェクション』阿部和重著)

インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)










手元にない、何年も前に読んだ本の感想を書くのは辛い…。
阿部和重氏『インディヴィジュアル・プロジェクション』はかなり好きな作品だが、実家に置いてきてしまった。ああ、記憶が曖昧だ…。

小説を読むとき、僕はストーリーをほとんど気にしていない時期があった。
ストーリーよりも、文体の長さやリズムや、比喩がどのくらい使われているかや、一人称と三人称のどちらで書かれているかや、どこからの視点で書かれているかや、時間軸はどうなっているかなど、小説の構造に興味があった。

だから、ストーリーはおまけみたいなもんだった。
殺人犯が出てこようが、三人姉妹の貴族の恋愛模様が描かれていようが、僕にとっては一緒だった。

小説を一冊のストーリーの流れとして読むのではなく、1ページ1ページを単独で、顕微鏡でそこだけ見るみたいに切り離して読んでいた時期があった。

今はまた、ストーリーも楽しめるように戻りましたが…。

阿部和重氏は、そんな僕にぴったりの作家だった。
毎回違った趣向の作品を書いてくれる。
文体を変える。人称を変える。視点を変える。構成を変える。
構造に凝った作品を書いてくれていた。

『インディヴィジュアル・プロジェクション』は主人公の日記形式で書かれた、スパイ絡みのハイスピード小説という感じで、構造だけではなくてストーリーもしっかりしている。
プルトニウムが出てきたりなんやりであまり詳しいストーリーは覚えてないのだけど、読んだあとに興奮したことだけは、記憶に残っている。
そして何より、表紙がセクシーだったことが、一番記憶に残っている。

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