もらって当たり前だと | こっちにいらっしゃい

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春と秋に挟まれた季節の夏になると、青い空と強い日差しを二列に互生した、子供の手のひらサイズと大人の手のひらサイズの、そんなケヤキの葉身が日かげの空間を醸し出してくれる。ときおり一斉に始まるセミの合唱が耳を突く‥‥。

「もらって当たり前だと、

 

そんな人は往々にして言います。

 

口先だけの行動の伴わない、

 

感謝の言葉を軽々しく…」

 

「美沙さんのように、自分のことよりも、

 

くれた人の気持ちを考えることって、

 

大切だと思うよ」

 

「わたしの周りにもいます。

 

自分は特別だから、

 

お返ししないのが当たり前という人、

 

偉いから、人気があるから、

 

自分はプレゼントをもらって当たり前、

 

してもらって当たり前と思っている人が…」

 

「人の思いやりや、

 

こころ配りに感謝できない人とは、

 

疎遠になってしまうものだね。

 

たとへどんなに能力が合っても。

 

残念だけど…」

 

「美沙ちゃんは違うね。

 

ありがとうに心がこもっているよ。

 

それを感じます」

 

「ありがとうございます。

 

ですから、わたしの手料理で…。

 

お返しをさせてください」

 

「分かった。でも夕食は遠慮するよ。

 

昼食をご馳走になるから。ラーメンを…」

 

感謝の形