ふしぎな南風 -4ページ目

新しい生活がスタートしたものの、環境の変化のせいか、

このところの急激な気温の変化のせいか、なかなか風邪が治らず、

やらなければいけないこと、やりたいことがほとんど何もできないまま、

ずるずると時間が過ぎてしまっている。


「しなければならないことをしないとき、人間は、孤独を感じる。

能力を十全に発揮 - 成長 - するときにのみ、人はこの世に根をおろし、くつろぐことができる」

エリック・ホッファー「波止場日記」


そんな中、先週は1週間、手作り弁当を職場に持参した。

近くに食事をする店がほとんどないのだ。


もともと、そういうタイプの人間ではない。

弁当を作ったのは、これが生まれて初めてだ。


弁当男子という言葉を聞いたことがあるが、これはもっと若い人のことを言うのだろう。

男手一つで子供を育てている人が、弁当を作って子供に持たせるのなら素敵だが、

中年男が自分で作った弁当を持参するのは、なんだか冴えない。


まあ、格好を付けるためにお昼を食べる訳でもないので、

冴えようが冴えなかろうが、とりあえずやってみる。


日曜の夜に人参、きゅうり、小玉葱、パプリカ、カリフラワー、ピーマンを

ワインヴィネガー、香草、塩胡椒で蒸し煮して、野菜の酢付けもどきを1週間分作る。

これが弁当のおかずとして、1週間いたまずに持つのかどうか、

自分の身をもって実験するのだ。


鶏のささみが1パックに5本入っていたのでこれは毎晩焼いて、朝、プチトマトと一緒に詰める。


ご飯はいろいろと手間が掛かるので、ライ麦パンにチーズを挟んで持っていく・・・



一週間まったく同じメニューだな・・・


ま、いいか


てな具合にスタートした弁当計画は、木曜日まで順調に進んだが、

最終日の金曜日に、詰めた弁当を鞄に入れ忘れるという間抜けな結果で終了した。


野菜の酢付けの持ちも、もともと風邪でお腹の調子が悪かったため、

良く分からないまま実験終了となった。


唯一、分かったこと


「自分のために弁当を作って詰め、それを持っていくのを忘れた時、人間は、孤独を感じる」

Huck「ふしぎな南風」


そんなこんなで、今週も弁当を持参するかどうかは未定だ。

未だ多くの段ボール箱が開梱されず積み上げられたままの新しい部屋にて、

久しぶりのブログ更新をしています。


つまみの無いガス栓に戸惑いつつガスコンロを据え付けたり、

隣の一軒家の2階のベランダからおばちゃんにパンツ一丁のところを目撃されて、

慌ててカーテンを取り付けたり、洗濯機の水道の接続が拙くて水が噴き出したり、

まだ何も料理はしていないけれど深めのフライパンを買ってみたり、

新しいランニングコースを探索したり、珍しく風邪を引いて喉が痛いのでミカンを買って食べてみたり、

なんとなく部屋に現れてはいけないような気がする赤い中型の蜘蛛をやっつけたり・・・


どうにか新しい生活をスタートした。


明日から本格的な活動が始まるのを前に、横浜美術館にドガ展を観に行った。



ふしぎな南風

風邪で体調も優れず、片付けもまったく終わっていないのでどうしようかと迷ったのだが、

平日に行けるチャンスはもう無いと思い行ってきた。


作品点数も多く、色々な美術館から出展されていて、とても良かった。


一番の目当てはこの作品



ふしぎな南風









オルセー美術館所蔵の"The Tub" (1886年 パステル)


とにかく美しくて、エロティックなのだ。


たらいに置かれた手と足、艶めかしく力強い背中から腰、

美しいパステルの色彩と陰影、覗き見るような構図。


大好きな絵だ。


踊り子のシリーズも目玉の「エトワール」以外にも見応えのある作品がたくさんあり、

ドガが使用したパレットなども展示されていた。


美術館に行ったのは久しぶりだったが、無理して行って良かった。


さあ、何か食べなきゃ。

今日は長めに18km走った。


おそらくこの河川敷を走るのは今日で最後だろう。

そう思うと少し寂しい気もする。


川の近くのこの町に住まなかったら

きっと走り始めることもなかっただろう。


たっぷりと流れる川の水、その向こうに見える大阪梅田のビルの街並、

高い堤防の草や芝生、河川敷の干潟、草花、木々、公園、野球場、テニスコート・・・


四季の表情が豊かで本当に素敵なランニングコースだった。


風に乗った微かな潮の香りを感じながら走るのも好きだった。

電車が大きな音を立てて通過する高架下を走り抜けるのも好きだった。

着陸態勢に入って低空飛行する旅客機を真上に見上げながら走るのも好きだった。

春先に目の覚めるような黄色い菜の花畑の脇を走るのも好きだった。

夕暮れ時にビルの灯を眺めながら走るのも好きだった。


土手の階段に仲良く腰掛けていた高校生のカップルも、喧嘩したのか泣いていたカップルも、

高架下でサックスの練習をしていた若者も、自転車の練習をしていた親子も、

二人で漫才の練習をしていた若者も、少年野球の子供たちも、バーベキューを楽しんでいた人達も、

いつもお父さんらしいコーチと本格的なトレーニングをしていた女性ランナーも、

いつも後ろ向きに走っていたおじさんも、ボート部の大学生も、陸上部の高校生も、

早朝本気で吠えかかってきた白い野良犬も、夕方よくすれ違ったこげ茶の野良犬も、


みんな、さようなら。


元気でね。

今日は15km走った。

12kmより長く走ったのは8月10日に15km走って以来で本当に久しぶりだ。

今年の夏は本当に暑かった。


引越の日程も決まった。

まだ何も準備はしていないけれど。



エミール・クストリッツァ監督の「パパは、出張中!」と

ロバート・アルトマン監督の「ロング・グッドバイ」を観る。


「パパは、出張中!」は初めて観たがとても面白かった。


戦後の冷戦下でチトー政権がスタートした旧ユーゴスラビアを舞台に、

主人公の少年の視点を軸に、家族を中心とした様々な人間の営みが描かれる。


悲しみも喜びも生も死もセックスも愛も憎しみも全てが混然一体となって、

人間のエネルギーとして溢れ出すような描写が好きだ。

まだ「黒猫・白猫」ほど弾け切っていないけれども、

その予兆が感じられるし、むしろ抑制が効いている感じで

また違った雰囲気が楽しめる。


どちらも結婚式のシーンが印象的だ。



「ロング・グッドバイ」は久しぶりに観たが、こちらも良かった。


どこか微妙に現実の世界から浮遊しているような独特の雰囲気のある映画だ。


記憶では、エリオット・グールドのフィリップ・マーロウは、

もっとだらしない、ちゃらんぽらんなイメージがあったのだけれども、

意外とぴしっとしていた。


しかし、この映画ほど煙草を吸いまくる映画が他にあるだろうか?

シーンが変わるたびに、マーロウはマッチを擦って煙草に火を付ける。


原作とは色々と違うのだが、一番大きな違いは、

原作ではマーロウは、テリー・レノックスを撃ち殺さない。

ジョン・カサヴェテス監督の「グロリア」(1980年)を観た。


面白かった。

こんなに面白かったかなー、と思うくらい面白かった。

随分と久しぶりに観たのだけれど。


マフィア組織を裏切ったプエルトリコ人。

皆殺しにされることを悟ったその家族は、

マフィアが部屋に押し入る直前に、

末っ子を友人のグロリア(ジーナ・ローランズ)に預ける。

元マフィアの情婦グロリアと6歳の男の子フィルの逃避行が始まる。


なんたって、ジーナ・ローランズがカッコいい。


ニューヨークの街の雰囲気も、アクションシーンも、

二人の掛け合いも、全てが良い。


最高なのは、終盤、一人でマフィアの幹部で元愛人に会いに行くシーン。

恐怖と緊張の中での駆け引き。

二人の表情のアップ。


とても、見応えがあった。


カサヴェテスの他の作品は、あまりDVD化されていないのかな。

TSUTAYAには「グロリア」しかなかったようだけれど。