リースという金融手法
モノの「賃貸借」のことを英語ではそのままリースと表現する。不動産の賃借権はleaseholdともいう。また日本語でリースという場合、これはファイナンス・リースであることが多い。
*ファイナンスリースは購入の資金肩代わりという金融的側面が強い
*オペレーティングリースは賃貸借の側面が強い
リースでは所有権はリース会社にあるので、それは「賃貸借」の一種ともいえる。しかし、実質所有と変わらない便益がリース借り手に与えられ、さらに金融会社がリースに大きな役割を果たしている。ローンまたはリボ払い等モノを買うのにさまざまな金融手段がある。あなたが使っている機器がローンなのかリースなのか、それは利用においてはあまり変わりはないだろう。。
*ファイナンスリースには所有権移転と所有権移転外の2種類に大別できるので、必ずしも契約条件によってはリース会社に所有権があるとは限らない
航空会社はたいてい飛行機をリースしており、所有してはいない。またアメリカでは古くから不動産リースが盛んであった。普通のオフィスの事務用機器でもリースは一般的だが、プロバイダの提供するモデム等もリースである(だからモデムを返品しなくてはいけない*あなたにモデムの所有権はない)。
*アメリカでは自動車やバイクのリース契約が発達しており、ローンで購入するより有利という話がある
*航空機はオペレーティングリースが一般的とされる
オリックスという野球チームがあるが、日本のリース最大手はオリックスである。オリックスはソフトバンクなどベンチャー躍進にも影響を与えてきたようだ。だが、モノの種類に応じてあたかも商社のように特定リースが多々あるようだ。。NTTの料金請求を請け負うNTTファイナンスももちろんリース大手である。
*リース業界大手
オリックス、東京センチュリーリース、三菱UFJリース、芙蓉総合リース、NTTファイナンス、興銀リース、NECキャピタルソリューション
日本では60年代に現在のようなリース形態が浸透していった。製造業の勃興と時を同じくする。
日本のリースはアフターセールス(保守)の安心・長期的顧客関係・製品の更新などが特徴としてあり、とりわけ新製品導入のための営業がリース期間満了前にできるという点がメーカーには「売り切り(一過性の関係)」と比べて好都合であろう。製品の更新が強化されるという機能は経済的に意義があるように思われる。また「売り切り」は関係が切れてしまうが、リースでは長期的関係を更新できる点は日本の商慣習にそぐうのかもしれない。
リース契約 → メーカの利点:購買サイクルの短縮化・新製品導入の促進
法人利用者にとってリースの素晴らしい点は、レンタルの感覚で発生リース料だけを計上すれば済んだ点であろう。減価償却のある所有より、リースのほうが会計上得な場合があるようだ。また不動産の場合、所有には税もかかる。さらに新製品に取り換えたくても、財務上まだ価値が残っているものを処分するのは抵抗があるかもしれない。リースならば常に新製品を使うということが財務上もラクだろう。
*不動産についていえば、「所有」とは固定資産税や資産価値に連動した登記料などずいぶんコストがかかることになる
リース契約 → 法人ユーザーの利点:会計メリット(税メリット)・迅速な設備一新
こうした金融をかませた「モノの移転」は、代金回収という「金融リスク」を金融屋が受け持ち、サプライヤーは割り引いた価格で金融屋に売るがリスクからは解放されるというメリットがある。こうしたリスク回避のあり方は、伝統的な卸売りともまったく違う。日本の古い慣習でもなく戦後型のものだい。金融を嫌いモノづくりが好きだというが、金融が不可分に結びついた現代的なモノの売り方だ。
所有(狙い打ち的コストがかかる) ←→ リース(軽々)
国際会計基準リースの「オンバランス化」
リースは日本では長らく会計上「オフバランス」であり、それも魅力の一つだったのかもしれない。
だが2015年に向けて「オンバランス化」が待ち構えている。
リース会計で賃貸借処理が認められなくなるとはどういうことだろう?「オンバランス化」はIFRS(国際財務報告基準)に則ったものだが、業態によっては会計上の変化が生じるようだ。IFRSは、解約不可能なのに将来のリース負担が見えにくい点を改善し、透明性を増すものだろう。つまりポジティブな前進に思える。いずれにしても、資産・負債の総合管理でのバランスを見極めるため重要であり、「右肩上がりではない経済」では無視できないポイントなのだろう。すでにコンバージェンス(国際会計基準への段階的移行)は進んでいるが、戦後日本の資産管理慣行に大きな影響を与えるのだろうか?今後注視していきたい。。
・リース会計(CFO Library)
・リースor購入どっちがおトク!? (IFRS経営会議)
*欧米ではリース期間後のユーザー買い取りが顕著で、結局は売買の代替という性質が色濃い
*日本会計にあった「所有権移転外ファイナンス・リース取引」やリース価額による簡易処理などはIFRSにはない
*「所有権移転」ならば、金貸しの側面が強い
*「所有権移転外」ならレンタルの側面があるのだが、解約不能である。これで所有権の帰属は無意味化している。
*右肩上がりの経済では資産は含み益を出しながら膨らむだけだが・・
そもそも多くのリース契約は、明確なオペレーティング・リースでない限り賃貸・レンタルという建前で「モノの移転」には違いない。日本的な長期関係では「売り切り」という切断より、延々と関係更新を続け、所有権移転を重視しない点があったのかもしれない。
モノを売る → モノを買うカネを用立てる(ローン)
→ モノを預ける形にしてモノを売る(リース)
リースの法的問題「瑕疵担保責任」の封じ込め?
■誰が製品の欠陥に責任を持つ?
民法上の「瑕疵担保責任」が保障するものは契約解除権と損害賠償請求権である。賃貸という形態なら債務不履行責任という形でこれらが保障される。
メーカー 買い手
引渡し責任 ←→ 代金支払い責任
瑕疵担保責任
etc
動産売買先取特権 → 代金支払いがない場合
ただ「提携リース」の場合はサプライヤー・リース会社が一体的(要するにグル)であるため、リース会社に対する「瑕疵担保責任」の請求が法廷で認められる場合もある。
・ファイナンス・リースにおける物件の瑕疵(近江法律事務所)
*リースは純粋な金貸しとは異なり、最初から製品と結びついているので、例えばメーカーの子会社がリースを提供するなど、一蓮托生となるのはむしろ自然である
リース会社
「リース契約上何があっても解約できません」
「特定商取引法は通用しませんよ」
「内部関係や過失の証明は原告側証明責任で大変よ」
『つまり、わたしはお金をもらうだけ/わたしは金貸し』
通常の消費者向けビジネスでは、売り手は法律が要求する以上の責任をサービスの一環として負担することが多い。しかし、リース契約が消費者に適用されるとき「瑕疵担保責任」封じ込めという特色とその法的問題は小さくない。この問題はもっと注目されていもいい問題だろう。
■一般消費者はカモか?サプライヤーと金融屋の結託「売り逃げ」
プロバイダのモデム・リースに限ったことではないが、一般消費者を相手にする商売に導入される金融手法もだんだん高度化していくことだろう。ただまばゆいテクノロジーという表面に心を奪われ、一般消費者には複雑すぎる金融条件など金融屋の一方的有利に運んでしまいかねない。取引とは五分五分であるべきものだと思う。
たとえばインターネットであるサイトの有料会員になったとしよう。サイトが使えなくなっても1年分の会費が毎月クレジットカードから引き下ろされるってこともありうる。日焼けサロンに入会して会費を払うことになったが、すぐにサロンはどろん。契約分だけ決済会社に吸われることになったとか。こういったことは日本だけでなく世界中で起こっている。
サービスはリース契約の対象にはならないが、なんらかの決済会社がからむ場合は実はリースの構造と似ている。サプライヤーと金融の結託である。そしてサプライヤーの法的責任の放棄である。そして金融屋にとってはあなたは債務者でしかない。これは「売り逃げ」に等しい行為となる。
・提携リース契約を規制する法律の制定を求める会長声明(2011/03/24福井弁護士会)
・提携リース取引を規制する法律の制定を求める意見書(2011/07/14日本弁護士連合会)
いわば、リースや決済代行という形態には、「売り逃げ」金融屋の餌食という危険性をはらんでいる。テクノロジーなどが成り立っているのは、カネになっているからで、必ずマネーの仕組みが根底にある。そこを忘れずに見ていきたい。。
