ごめん、ちょっと期待してしまったんだ。。。

 

今日は私の仕事部屋で、

とあるアニメの歌入れの録音がありました。

 

今回は英語での歌唱が条件だったため、

シンガーは私ではなく娘のHです。

 

私がスタジオでの録音に初めて立ち会ったのは、

音大1年生の時。

そこから数えて、もう半世紀もこの世界にいるのかと思うと、

我ながら驚いてしまいます。

 

さて、今日の録音現場は、

かっこいい防音ブースもアシスタントもいない、

我が家の一角。

 

私がにわかエンジニアとなり、マイクスタンドを立て、

機材を準備するところから始まります。

 

ところが、いざ始めようというところで、

パソコンの電源が少ないことに気づきました。

 

この段取りの悪さ、実に私らしいです。

 

慌てて電源をつなぎ、イヤフォンを挿し、

データの名前を変更しているうちに、

「この立ち位置は効率が悪い」と気づき、

場所を移動することに。

 

ご想像の通り、パソコンからは

電源コード、マイクケーブル、イヤフォンコードと、

何本もの線がビロビロと伸びています。

 

それに気を遣いながら椅子をどかそうとした、その時でした。

 

ドデンズデン、ガンラガラガラ。

 

椅子が大きな音を立ててひっくり返ってしまいました。

予期せぬ大きな音は、

Hにとって決して好ましいものではありません。

ごめん、ごめん。

録音前にごめん。

 

急いで元の通りにとちょっと焦っておりました

Hの顔が曇ったから

 

ただ、、、

 

右肩を骨折し、まだ回復中の私。

それでも、

落とすわけにはいかないパソコンを左手で抱えながら、

なんとか右手で椅子を起こそうと試みます。

 

しかし、うまくいきません。

人間の関節というものは本当によくできていて、

椅子を起こすという単純な動作一つにも、

絶妙な角度の調整が必要なのだと痛感します。

今の右肩には、

少々酷な作業でした。

 

 

四苦八苦している私を、

Hはじっと見ています。

その時、私の心に本当に小さな、小さな期待がよぎりました。 「H…椅子を起こしてくれないかな…」

 

 

彼女は、こういう時に「こうすれば相手が助かるだろう」

と想像することが、とても苦手です。

だから、ただじっと私を見ています。

私の気持ちは

「あのさ、ちょっとさ、、これ、、

椅子、、おこしてくれないかな???」

 

 

いよいよ何度やっても椅子を起こせない私に、

彼女がかけた言葉は、 

「ねえ、左手のパソコン、どこかに置いたら?」 でした。

 

 

「そ、そうだね。そうしたら両手が使えるものね…」

 

そう答えながらも、私の心の中では、

もう一人の私がつぶやいた!「手伝って欲しかったなあ」と。

 

彼女がASDであるという事実を、完全に無視した希望です。

 滅多にそんな風に思うことはないのですが、

今日は久々に、「ればたら鳥」が

頭の中をよぎりました。

 

 

「ればたら鳥」は疲れた時に飛んできます。

今日は早く寝ようっと。